尹錫悦大統領は、大統領就任式に出席した在外韓国人らを招いたレセプション会場において、”在外同胞庁”の設立を改めて約束したと伝えられた。なんとも喜ばしい限りだ。
海外に在住する在外同胞の数は、解放後の移住者を中心に600万人といわれたのはひと昔前のことで、現在は750万人にのぼり、うち在日同胞は日本国籍者を含めて、約82万人と見られている。
植民地時代、ハワイや南米などに移住した在外同胞もいて、その誰もが辛酸を舐め尽くしたといわれているが、在日同胞の場合は、植民地時代に日本に徴用されたケースが多く、現在は4世5世の世代となっている。ほかの在外同胞とはその存在事由が異なるものの、辛酸の度合いは似たり寄ったりだ。
とはいえ、不幸中の幸いというべきか、在日同胞の場合は解放後にやってきた日本の高度経済成長の波に乗って、企業資産を構築した人も少なくない。その企業資産を”北送事業”の際、北韓に持ち込んだが、その全てを失ったケースも多々あると聞く。
韓国籍の在日同胞はその祖国愛から、郷土に多くの資産を喜捨した人や、祖国で企業活動を展開した人も少なくなく、”漢江の奇跡”といわれた経済復興のときにも、経済的に多大な寄与をした。
金大中政権下で起こったIMF危機のときは、在日同胞が多額の献金を行って、危機克服の助けとなった。在外同胞の中で祖国に貢献した度合いは、在日同胞の右に出る存在はないとまで言われている。
さらにいえば、ユギオ(6・26動乱)のときには義勇兵として参戦し、祖国守護に一役買った。しかし、そうした愛国活動は、祖国である韓国では現在、ほとんど知られていないという。遺憾というほかない。
そうしたことから、”在外同胞庁”の設置が一刻も早く実現することが望まれ、その業務に期待すること大である。在日同胞のみならず、世界各国の同胞たちもみな”在外同胞庁”に期待していると思われるが、在日同胞の場合は、祖国貢献度が余りに過小評価されているという点が、問題なのだ。
そういった数々の祖国への貢献が正当に評価されてしかるべきだと思われるのだが、祖国ではきちんと伝えられていない。このような在日同胞の愛国活動は、祖国韓国の教科書に載っても不思議ではないといわれるほどである。
尹錫悦大統領が設立を約束している”在外同胞庁”が実現したあかつきには、史実を冷徹に観察して、在日同胞によるこれまでの愛国活動が正当に評価されることを願うばかりだ。