尹錫悦氏が韓国の第20代大統領に就任した。日米との関係改善を掲げる尹政権に、とりわけ在日韓国人からの期待も高いのではなかろうか。手腕は未知数。これからの5年がどうなるか、複雑な国際情勢も絡んで見通しは立たない▼不安材料を挙げるとすれば、まずは政治経験の乏しさだろう。また党内基盤も弱い。野党出身の大統領であり、172議席を有する共に民主党とのバランスに苦慮していることは、特に人事面ににじみ出る。だが、いつかは大ナタを振るう時がくる。検事時代に発揮した意志の強さと決断力に期待したい▼国内に目を移してみよう。文在寅政権が破壊した法治の立て直しは急務であるし、コロナ対策と同時に経済回復も急がなければならない。任せるところは信頼できる側近に任せなければ、とても一人では解決できないだろう▼南北問題は、とりわけ難しいかじ取りが迫られる。南北首脳会談を3回行った文在寅政権の5年間、いわゆる「板門店宣言」という合意はあったものの、平和条約の締結といった、夢のような話をしただけである▼金正恩に非核化や対話の意思がないことは明らかである。大韓民国憲法第4条は「大韓民国は統一を志向」すると謳っているが、実効性のある手段を模索し、諸外国と協調して金正恩政権を変えていかねばなるまい▼課題は文字通り山積している。不正選挙を徹底追及し、国会の暴走を止めることは必須となる。それらをなくして、今後の政権運営は難しくなるだろう。