新年に入り2週間で4回もミサイル実験を強行した平壌側が、労働党政治局会議(19日)を通じ、米国と対決路線を宣言した。北側は1950年6月の奇襲南侵以来、常に中共と戦略的に歩調を合わせてきた。中共は、今回も国連安保理決議に挑戦した平壌側を庇護している。朝鮮労働党の日本支部(朝総連)は、平壌の指示で、「米国を制圧、屈服させる」(朝鮮新報)と宣言。平壌側はウクライナ事態とイランの核凍結をめぐる中東の緊張で、米国が断固と対応できないと錯覚しているようだ。過去数回も北爆撃を準備していた米国は、平壌を攻撃する名分を探している。中共が平壌を暴走させれば、米国は攻撃名分を得る。
激動期に突入した韓半島
自由を持ち込む北韓住民
平壌側は、労働党日本支部の機関誌を通じ、彼らの「国家核武力完成」を起点として局面が転換されたと強弁した。朝鮮新報の報道要旨は次の通りだ。
北側は、米国が推進する北の国力消費戦略に巻き込まれず、米国を制圧し屈服させる対外政治活動に焦点を合わせる。社会主義強国の建設のため、米国に対して「強対強・善対善」で対応する。国連安保理制裁に加え、「核ミサイルを含むすべての武器体系を完全かつ検証可能で、不可逆の廃棄(CVID)」には決して応じられない。米国に立ち向かう物理的手段を開発、生産、配備する計画を強行する。昨年の7月、労働党中央軍事委員会で決定した通り、北の核戦略を中共と一体となって駆使するという宣言だ。そして、実際に近日中、ICBMを発射する構えだ。韓国の国情院も、北側が東倉里でICBMを発射すると国会情報委に報告(21日)した。
ところが米国は、平壌側が米本土を攻撃できる能力を備えることを決して許さない。米本土を攻撃できる北側の核能力は、同時に中共の能力でもあるからだ。今回の極超音速ミサイル、特に多弾頭ミサイルの開発と実験は、中共の支援なしには不可能だ。米国は北韓とイランという同盟を動員する中共の戦略を放置できない。
これまで米国は北韓の核能力を物理的に粉砕、除去する準備をしてきた。元韓米連合軍司令官などによって確認、公開された事例を見るだけでも、3回の「決定的な瞬間」があった。2017年のトランプ政権時、その前は、バイデンが副大統領だったオバマ政権時、そして北核を初期の段階で除去しようとしたクリントン政権のときも軍事的に北核を除去する準備ができていた。民主党政権がより果敢だった。
米国は韓米同盟が一緒に行動することを望んだが、不可避な場合は、米国の単独作戦も計画した。米国の行動を拒んだのは国連安保理だった。平壌側はいつも米国が脆弱な時を狙った。今回も、ウクライナや中東の緊張状況を利用しようとする姿勢を見せている。もちろん、両国の同盟である中共の庇護があるからだ。
平壌側がウクライナ事態を利用できると考えれば、これは大きな錯覚だ。米国国民は、自国に最大の脅威は北韓核と答えている。バイデン政府は国民の不安を解消せねばならない。ウクライナや中東(イラン)からは米本土に核ミサイルは飛んで来ないが、平壌からは核ミサイル・EMP弾が飛んで来る。
そのため米空母戦団が西太平洋に集結しているのだ。米国は、対北軍事行動のときは核問題の根本的解決を追求する。単に北核除去を越え、核能力を必要とする全体主義暴圧体制そのものを終息させる。米軍はこの目標のための訓練と準備態勢を公開している。韓国軍の参加のない作戦態勢や、米軍基地が攻撃された時の被害管理及び復旧訓練、駐韓米国人の避難対策なども公開した。日本との連合訓練もする。
当面、韓半島で軍事作戦の際の重要な変数は、韓国大統領選挙だ。中共も注視している。中共とともに米国に立ち向かう平壌側も同様だ。平壌側は、尹錫悦に大統領候補辞退を要求した。尹候補が、敵から核攻撃が差し迫った際は、先制攻撃が「避けられない」と発言したことを問題にした。彼ら自身はICBM発射を準備しながら、文在寅側の肩を持ったのだ。欺瞞策だ。
平壌側は北京冬季オリンピック期間中でも挑発するのだろうか。だが、自らの矛盾と限界点を免れようと北京と平壌側が挑発すれば、共産全体主義暴政の下で77年間、呻いてきた人民が解放されるだろう。