「#渡韓ごっこ」人気 若い世代中心にSNSで広がり

日付: 2021年12月01日 00時00分

 コロナ禍で海外旅行が自由にできなくなり、およそ2年が経つ。日本の韓流ファンの間では、日本にいながら韓国旅行体験ができる「渡韓ごっこ」と呼ばれる楽しみ方が広がっている。初めはオンラインで韓国の観光名所や料理を巡る「体験ツアー」だったのが、徐々に多様化していった。もはや新しい韓流の一つになりそうな「渡韓ごっこ」を取材した。

 

■ホテルの取り組み

20~30代の女性を中心に人気を集める韓国旅行。その気分だけでも味わってもらおうと、いわゆる「渡韓ごっこ」と呼ばれるホテルの宿泊プランが話題を呼んでいる。
シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル(千葉県浦安市)では11月いっぱい、韓国旅行気分を楽しめる初のコリアン・フェア「シムクンシェラトン」を開催した。「シムクン」とは韓国語で「ドキドキする」という意味。予定していた1800室は完売となり、ホテル側は「思っていた以上に反応が良かった」と振り返る。利用客として若い世代の女性をメインに考えていたが、家族連れなども多く、年齢層は幅広かった。
特に目を引いたのは、ロビーに展示された「韓国文化BOX」だ。
これは、実物の資料を使った展示と体験を通して韓国文化への理解を深めることを目的に韓国国立博物館が制作した移動式博物館で、国立博物館外での展示は珍しい。そのほか、韓国ドラマOSTロビーコンサートやK―POPカバーダンス、テコンドーや民族楽器演奏などのパフォーマンスにも力を入れた。ビュッフェにはシェラトングランド仁川のシェフのレシピを忠実に再現した韓国料理を用意し、SNS映えのする韓国風スイーツは注目の的となった。
フェアの企画を担当したマーケティングコミュニケーション部長は、「各パートナーとの協力体制が素晴らしかった」と述べる。今回の企画成功の要因は、シェラトングランド仁川ホテル、韓国文化院、大韓航空、眞露などとの連携が功を奏したことが大きかったという。また、韓国のレシピや展示物の見せ方に独自のテイストを入れ込むというホテル側の工夫も随所に見られた。ホテルの空間にはBTSの曲を流し、「スタッフからも喜ばれた」(前述部長談)とのことだ。

■渡韓ごっこの広がり

「渡韓ごっこ」は旅行関連業界を超えて広がり始めている。韓国を楽しめる空間が都内にオープンした。韓国の女子高校生の制服レンタルショップでは、従来のサービス(制服を着て韓国をイメージさせる教室での写真撮影)に、韓国風コンビニ、カフェをあしらったスペースを新たに設置した。利用者は、K―POPアイドルが着たのと同じデザインの制服を着て、教室で写真や動画を撮ったり、韓国コンビニで購入したスナックやシリアルなどを韓国カフェ風のイートインスペースで食べたりすることができる。日本にいながら韓国を体験できるというもので、その様子がSNSで盛んに発信されていることは言うまでもない。女子高校生はもちろん、インフルエンサーと呼ばれる人気YouTuberなどが多数訪れているという。
キーワードは「SNS映え」のようだ。「モノ・コト・空間」と表現される、その場所を作り上げている要素のすべてがSNSで注目されうる点で、「渡韓ごっこ」は最適だ。実際に韓国へ自由に行けるようになれば渡韓ごっこは下火になるだろうか。そうではない気がする。渡韓ごっこは形を変えて、新たな韓流になるのではないだろうか。

写真上:(右)シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルで展示されたソンビ文化を中心に朝鮮王朝時代の空間を紹介する展示ボックス(左)都内にオープンした韓国のコンビニを演出する空間。ハングル文字が書かれた商品が並ぶ
写真下:ハングル文字を学ぶ体験ボックス。子どもたちにはもちろん、大人にも人気だった


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