韓国「ウィズコロナ」中断の危機

新規感染者・重症者が急増
日付: 2021年12月01日 00時00分

 「病床が逼迫」「いよいよ限界間近」など韓国では最近、新型コロナウイルスの感染者数が日に日に増加している。特に症状が重く、命の危険に直面している重症患者数が急増している。ソウル市内の上級総合病院における重症者病床の稼働率は90%以上に達し、数日中にも満床に至る勢いだ。

コロナウイルスの新規感染者が1日あたり4000人前後で推移。写真はコロナのPCR検査を受けている様子(11月26日、大邱市寿城区)

新規感染者数4000人台に
医療体制崩壊の可能性も

現況、韓国の新型コロナウイルスの新規感染者数は3000人台後半から4000人台に達している。重症者数は600人を超え、政府が医療的対応が可能な患者数として見積もっていた500人をはるかに上回っている。新規感染者や重症者の数は、ウィズコロナ(段階的な日常回復)施行前に比べ倍以上に増加している形だ。
医療の現場では、こうした状況が続けば医療体制の崩壊が起きる可能性があるとして警戒を強めている。満床に至った場合は新たなコロナ患者の受け入れもできず、最悪の場合、自宅待機中に死亡する危険さえ生じる。
ソウルの5大総合病院といわれるソウル大病院、ソウル聖母病院、ソウル牙山病院、サムスンソウル病院、新村セブランス病院では、コロナの重症者病床はほぼ満床に近い状態だ。ソウルのベッドタウンである仁川や京畿周辺でも、重症者病床の稼働率は同様だ。つまり、事実上のフル稼働状態といえる。
中央事故収拾本部(中収本)によると11月25日午後5時現在、首都圏の重症者病床の稼働率は84・5%に達している。深刻な問題として指摘されているのは、コロナ以外の病気でも受診が困難になるという点だ。臓器移植や癌、心疾患患者の手術・通院に支障をきたす場合、病状を悪化させてしまう恐れが生じる。
政府も事態を重く受け止めている。ソン・ヨンレ中収本社会戦略班長は「現状では重症専用病室の確保が難しい」と懸念を述べた。政府は準重症者用病床を増やし、重症者用の病床負担を緩和する策を打ち出している。しかし、問題はコロナの感染拡大が続いた場合だ。準重症患者を受け入れている一般病床の稼働率は現在、全国で約70%を占め、首都圏では約85%に達している。

要因はAZ製のワクチン?
文政権の防疫対応に批判の声


こうした状況を踏まえ、段階的な日常の回復(ウィズコロナ)を首都圏に限って一時中断する「非常事態計画(サーキットブレーカー)」の発出を求める声も高まっている。防疫当局は「私的な集まりの制限など、ソーシャルディスタンスを含むあらゆる方向から議論している」と述べ、コロナの感染拡大に伴う防疫強化対策を検討中だ。「防疫パス(ワクチン接種完了、陰性確認書)」を拡大するなど防疫レベルを高め、政府の担当部処と専門家集団間の意見調整が進められている。現在のように感染拡大が続けば、首都圏は再びウィズコロナ前へと戻る可能性が高い。
一方、最近の感染者数増加の要因については、ワクチンの免疫獲得率の低さが取り沙汰されている。韓国は、他社製と比べて予防効果(免疫獲得率)が低いとされるアストラゼネカ製ワクチン(1100万人)と、ヤンセンファーマ製ワクチン(150万人)を接種した人の割合が全体(2回の接種を終えた人)の33%に達する。ファイザー製ワクチン(2180万人)とモデルナ製ワクチン(635万人)を接種した人の数は、全体の67%を占める。
こうしたデータが示されているにも関わらず、当局は新型コロナウイルス感染者の中でブレークスルー感染をした人が占める割合は何%か、どのワクチンを打った人がブレークスルー感染をしたか、などの疑問に対する具体的なデータを公開していない。韓国でコロナワクチンを2回接種した人は約80%(ソウルは83%)で、世界の主要国の中でも高い割合を示している。当局は現在、アストラゼネカ製とヤンセンファーマ製ワクチンの接種者に対し、3回目のワクチン接種を積極的に推奨している状況だ。
感染拡大の原因が免疫獲得率の低いワクチンにあるとすれば、感染の拡大を抑えることは困難だ。さらに、当局の防疫対応が場当たり的であり、手順も効果的ではなかったことについても指摘を免れることはできないだろう。


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