「天安艦事件」への見解 大統領選の行方を左右か

日付: 2021年11月25日 00時00分

2010年3月、北韓の攻撃によって沈没した海軍哨戒艦「天安艦」。しかし韓国の一部には、北韓の攻撃によって爆沈したことを否定する人々が存在する。天安艦事件へのスタンスが来年の大統領選挙を占う試金石になりそうだ。(ソウル=李民晧)

尹錫悦・国民の力大統領候補と面会する天安艦遺族(11月17日)

11月17日は「殉国先烈の日」だ。前天安艦艦長のチェ・ウォニル氏と、天安艦撃沈で命を落としたイ・サンヒ下士官の父、イ・ソンウ氏が同日、野党・国民の力から大統領候補として出馬する尹錫悦氏を訪問した。天安艦事件の遺族らが真っ先に問いかけたのは、事件に対する尹氏のスタンスだった。
「我々は尹氏への支持を示すために来たわけではありません。尹氏はどのようなスタンスで天安艦事件を捉えているのでしょうか」(チェ氏)。
尹氏はこの問いに対し、 「国の品格というのは、国がどのような歴史や人物を重んじているか、という点に表れる。現政府のスタンスは理解しがたい。天安艦は襲撃事件であり、我が兵士たちが北韓の挑発によって犠牲になったものと考えている」と回答した。
尹氏はさらに「私のスタンスは一貫しています。天安艦事件は、北韓の爆沈によって我が海軍の勇士たちが犠牲になった事件。これは事実であり、科学的に検証されている」と語った。

 陰謀論動画を容認した
当局の責任


これに対しイ・ソンウ氏(天安艦遺族会会長)は「文在寅大統領とは度々お会いし、天安艦事件について政府のスタンスを示してもらうよう再三伝えてきた。公式の場で北韓の悪行であることを示していれば、虚偽事実であるという一部の声も静まり、天安艦の名誉を損なうことはなかったはずだ」
文大統領は昨年3月28日、「西海守護の日」に行われた追悼式で「政府のスタンスとしては北韓の仕業とみるべきではないか」と言葉を濁した。当時、天安艦事件で犠牲となった兵士の遺族が「(政府は)北韓の仕業だということを明らかにしてこなかった」と抗議すると、文大統領は「政府の公式見解に変わりはない」と繰り返した。
一方、放送通信審議委員会は最近、国防部が審議を要請したYouTubeの天安艦関連陰謀論動画について「該当なし」と判断した。これにより、天安艦の座礁説、潜水艦との衝突説など、撃沈を否定する動画が拡散し続けている。

 北韓の攻撃 科学的に
検証済み


政府与党内では、天安艦に関するコメントはタブー視されているようだ。「爆沈」の二文字を聞くことは滅多にない。来年3月の大統領選挙は、北韓による天安艦撃沈を信じる有権者と信じない有権者間の対決の側面もあり、民意を分ける一つの試金石とも囁かれている。
天安艦沈没の原因究明は終了している。2010年の爆沈以降、5カ国の専門家24人(韓国、米国、オーストラリア、英国、スウェーデン)が合同調査を実施。同年5月には「天安艦は北韓の魚雷攻撃によって沈没した」として原因と攻撃元を明示した。


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