世界の潮流と逆行する韓国の脱原発政策

「原発設計チーム」解体を検討
日付: 2021年11月25日 00時00分

技術力低下・人材流出などを懸念

 社会インフラ企業の韓国電力が、傘下機関「韓国電力技術」に所属する原子力発電(以下、原発)設計チームの異動を検討していることが分かった。設計チームは、韓国の原発技術を世界トップレベルへと引き上げた立役者だ。韓国電力は、経営効率化に向けた検討事項の一つであるとしているが、技術者集団の解体は文在寅政権が掲げる脱原発政策の一環とみる向きもある。(ソウル=李民晧)

慶北・蔚珍のシンハンウル原子力発電所1・2号機。完工後、文政権は稼働を遅延させたまま現在に至っている

 研究者らを配置転換
原発技術の後退危惧


地球温暖化対策が議論されるなか、世界の国々が原発技術に注目している。エネルギー問題と炭素排出減においては、現存するエネルギー源の中で原発が最適な発電源だからだ。中国やフランス、英国などが原発開発にしのぎを削る中、「原発が新たなルネッサンス時代を迎えた」との声もあるほどだ。
しかし、こうした世界的潮流に逆行しているのが韓国だ。韓国電力に留まらず、最近は韓国水力原子力などの電力インフラ系企業が太陽光、風力などの再生可能エネルギー開発に注力している。つまり、「エネルギーミックス政策」に転換している現状だ。
こうした状況下で、韓国電力技術(慶北・金泉)のエンジニアを配置転換することに批判の声が高まっている。韓国電力技術は、原子炉と制御・計測など、原子力発電における設計の要であり、関連技術の開発も行っている。
韓国標準の原発を開発し、アラブ首長国連邦(UAE)に輸出した3世代原発も同エンジニアグループが設計した。さらには、次世代小型モジュール原子炉「SMR」の前身となる「スマート原発」の設計技術も開発するなど、韓国原発産業の中枢を担う組織だ。
韓電技術はしかし、大田の原子炉設計開発チームを金泉本社へと異動させ、メンバーを本社内四つの部署に配置転換することを検討しているという。同じチームで切磋琢磨しながら共同研究を重ねてきたトップレベルのエンジニアたちを分散させることで、技術力の低下と原子力研究開発からの撤退を危惧する声が広がっている。研究者を生産ラインに立たせることと同意義だからだ。

独善的な脱原発政策に
市場の反応は冷ややか


こうした組織改革案が公になると、韓電技術の株価は19日単日で12%も暴落した。韓電技術は「小型モジュール原子炉など、効率的な海外輸出に向けた組織改革」と釈明したが、市場ではトップ研究者の人材流出と原子力技術の後退が懸念されている。政権による一方的で近視眼的な脱原発政策。対して、世界の国々は原発拡大へと舵を切っている。炭素の排出の減少には原発が必須であると判断したからだ。
中国は2035年までに最低150基の原発を建設すると発表した。フランスは50年までに新規原子炉建設を再開させ、韓国で既に開発済みの小型モジュール型原子炉(SMR)を開発するとの方針を示している。


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