【BOOK】『二つの国、二つの文化を生きる』(金正出 著)

日付: 2021年11月17日 00時00分

 著者は北海道大学医学部を卒業後、医療・介護福祉・教育の分野で多大な業績を残してきた在日二世である―と紹介すべきなのだが、韓国文学ファンの方々にはこちらの方が分かりやすいだろう。著者は、大河小説『土地』(朴景利著、クオン刊)の翻訳監修者である。『土地』は今年7月現在で14巻まで翻訳出版されているが、まだ全体の3分の2ほどだという。暇さえあれば『土地』の原本を広げて勉強していると本書でも触れている。
25年間にわたり書きつがれた壮大な小説の翻訳に取りかかることからもうかがい知ることができるように、本書からも相当な熱量のエネルギーが立ち上っている。小学校時代から現在に至るまでの物語には、かなりの苦労があったはずだ。それを微塵も感じさせない骨太な文章が読む人の背中を押す。
韓国や北韓に対する考え方も、時代に伴って変わっていった。どのような出来事、理由から変遷していったのか―もう少し聞いてみたい気もする。
韓日の協力が東アジアの政治の安定につながると締めくくる。元気をもらいたい人にお勧めの一冊。
講談社刊
定価=1980円(税込)


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