金正恩体制が最期を迎えつつある。神政全体主義独裁を70年間、物理的に支えてきた最後の堡塁の軍隊の紀綱が崩壊しているからだ。北韓軍は今年に入って服務期間を10年から7~8年に短縮、常備兵力を20%程度減らしている。限られた国防予算では、在来の軍事力の維持より、核ミサイル開発を中心に軍隊を運営するしかない現実を認めた措置だ。
戦時備蓄も3カ月以内にしたというが、これも既に戦時用備蓄倉庫の物資が費やされたと認めたということだ。金正恩は、栄養失調の兵士に対する回復責任を指揮官や将校たちに自費で解決するよう厳命した。先週、韓国国防部に対する国政監査で、国防情報本部は北韓軍の脱営兵が昨年より80%増えたと報告した。脱営兵の急増は劣悪な補給と過酷な服務環境のためで、しかも服務期間の縮小で労働党入党資格も得られず、除隊後の集団的強制労働配置も脱営を促す。
労働新聞が金正恩を首領と報道(10月22日付)し、北韓では金正恩主義という用語も使われると国政院は発表したが、これは今年の党大会で見られた第1秘書職の新設や一連の動向などと矛盾する。文在寅政権の情報操作のため、今や北韓事情は米国のVOAやRFAを見なければ客観的状況が分からない。北側は韓国大統領選挙への工作を試みるだろうが、内部統制に失敗した場合、対南挑発の賭けに出るはずだ。