<したがって、アジアの安定のためにはまず、アジアの心臓部である中国本土から共産主義を追い出すことです。これは貴国民の使命で、韓国国民の使命で、また全自由陣営の使命なのです。
ところで、私たちが嘆かわしく思うのは、まだわれわれ自由陣営の中には、共産主義と協商でき、また、彼らを国際機構に加入させることで、平和的成果が得られると考えている迷妄と誤算があるということです。このような迷妄と誤算は結局、共産主義の肥満だけをもたらしてしまったのです。
総統閣下! ある者は、自由中国と大韓民国を指して自由の防波堤とも言います。しかし、我々は、この比喩を認められません。どうして私たちが波に揉まれながら、ただじっとしていなければならないそういう存在なのでしょうか。
私たちは前進しています。暴政の共産主義を追い出し自由世界の具現のため、前へ前へと前進しているのです。われわれこそ自由の波です。この波は、遠からず北京や平壌までさらうことになると私は確信しています。
総統閣下! 勝利に向かって前進しましょう。皆さん、総統閣下のご健勝のために祝杯を提案します〉
朴大統領は、蒋介石総統の要請で日程を変更し17日の夜、台北郊外の総統府で晩餐を兼ねて2回目の首脳会談を行った。蒋介石総統は自分の統治哲学や経験をもとに、朴大統領に心からの多くの助言をしたという。蒋介石総統は特に、良い人材を起用すること、指導者の権威は徳望からのものでなければならないこと、そして国民の福利増進こそが真の反共という点を語ったという。
韓中の指導者は2月18日、共同声明で「中共は、アジアのあらゆる紛争の根源」と非難し、「安全、経済、文化など様々な分野での共通の関心事について協議をするため、両国間の、また必要に応じて自由アジアの指導者たち間の最高位級会談を開催すること」に合意した。声明はまた、「ベトナム共和国の国民を援助すべき緊急の必要性を認め、両国間の技術協力と通商関係を強化し、文化交流を増進する」ことに合意したと発表した。
朴大統領は、松山飛行場で蒋介石総統の見送りを受けて帰国した。自由中国空軍機が領空外まで護衛した。
外務部長官だった李東元の回顧によると、朴正煕大統領は、蒋介石総統の助言を受け入れ穏和な指導者になろうと努力したという。
朴正煕大統領は22日、青瓦台で政府・与党連席会議を主宰、東南アジア歴訪所感を表明した。
「訪問した3国は、われわれより早く開発に目覚め、われわれより発展しました。彼らが急速に発展した理由は、政府が推進する建設事業に対して野党や一部のメディアが妨害しなかったためです。政府と与党は、国家と国民のため正しいことなら、強く推進し、そのためには私たちも姿勢を正し腐敗を根絶し、そうすれば国民も納得し建設も進むと思います」
2月26日、ソウル大学の卒業式に参席した朴大統領は、卒業生に語った。
「今日の韓国の知識人たちの現実を否定するか回避する姿勢は、われわれ知識人たちが取る態度では決してないはずです。否定ではなく、肯定的な立場で、回避ではなく、積極的な参加を通じて、国民に勇気と自信を与える。そうすることで、祖国の建設のための先導的な使命を果たす、それがまさに今日のわれわれ知識人たちが持つべき姿勢であることを私は特に強調したいのです」
(つづく)