ポスト金氏王朝を巡る熾烈な権力闘争

民・軍の相互不信、爆発寸前
日付: 2021年09月15日 00時00分

 平壌の権力闘争が混沌とした状況だ。そのため、党と軍首脳部の人事が激しく変わる。6月末に李炳哲と一緒に元帥からの次帥に降格された朴正天が、政治局常務委員兼党秘書として復活した(7日、労働新聞報道)。党中央軍事委の副委員長だった李炳哲は、軍需工業部長まで劉進に譲り権力闘争で敗れたと見られる。
党組織指導部出身が主要権力を押さえる中、軍部の人事では、以前は考えられなかった現象が見られる。左遷・粛清された人物の復活が目立つことだ。この現象を説明できるのは、党を掌握した趙甬元などが軍隊を牽制、掌握するため、自分たちに近い幹部を抱き込み軍隊を分割管理しているとの解釈だ。
金正恩が既に「第2の苦難の行軍」を宣言するほど深刻な食糧難だ。軍隊が軍用米を確保するため、農地に接近する住民を射殺しろとの命令が下されたという(7日、RAF報道)。民・軍間の相互不信が極に達している。
この状況で、9・9節の閲兵式が急に開催された。わずか数日前に閲兵式が通知されたという。今回の閲兵式には党が統制する「民間および安全武力」だけが動員された。軍幹部たちは客として扱われた。軍が出ないため、武器も民防衛のものだった。驚くべきことに、党組織秘書の趙甬元が部隊を閲兵したことだ。趙甬元が事実上全権を掌握したと宣言したも同然だ。金正恩の粗野な影武者が動員された。専門家でない普通の人々の目にも別人と分かる。
軍隊を排除した閲兵式の直後、北側は新型長距離巡航ミサイルの成功を発表した。11日と12日の試射で1500キロメートルを飛行し標的に命中したと発表した。問題は、北側が近年開発、配備する武器体系は、韓国のADD(国防科学研究所)から盗んだものだ。文在寅政権が金正恩に貢ぎ物を送り、韓半島の平和ショーをしても、金氏王朝の崩壊は避けられない。


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