金正恩、軍統帥権を喪失

表面化する金氏王朝の終焉
日付: 2021年08月31日 16時40分

 金正日の「先軍政治」時代には、36年間も党大会が開催されなかった労働党だが、金正恩時代に活性化している。これは必然的に労働党、組織指導部の浮上をもたらした。金正恩はいつの間にか首領・最高司令官から、頻繁に開催される党集会の司会者となった。
当然、金正恩は戦略軍を中心とした軍部と党官僚に頼る。特に、今年1月の8次党大会で党規約の大幅整備を契機に、党組織指導部の躍進が目立つ。一連の流れは明白に集団指導体制を感知させる。ところで、党と軍隊のどちらが優位か。
昨年以来、平壌の媒体が発表する権力序列は激変してきた。党組織指導部出身の趙甬元の躍進がこの現象を物語る。だが平壌の媒体は21日、ジョン・サンハク党中央検査委員長を趙甬元の名前の前に報道した。労働新聞が直ぐ訂正したが、異例の動きだ。 
金正恩は、ついに軍統帥権を失ったようだ。党規約は人民軍を首領の軍隊ではなく、「党の革命を武装で擁護し、党の指導を先頭に担いで進む、朝鮮労働党の革命的武装力」と規定。先週(26日)、労働新聞の「先軍節」(8月25日)特集報道は、驚くべきことに、人民軍を「朝鮮労働党の血筋を引き継ぎ、党中央委員会を武装で擁護する。(中略)党と国家の苦情、人民の痛みを軽減する、真の党の軍隊、人民の軍隊」と宣言した。 
平壌の外務省は、「イスラム全体主義」の登場で失墜したバイデン政権の指導力を狙ったように29日、最強の戦争抑止力を強調した。北の核戦力、軍を掌握した者たちが中共とどう戦略的に連携するのか注目せねばならない状況だ。


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