ジョンソン大統領は話をつづけた。
ジョンソン「韓国の安全保障に十分な兵力と予算を充当します。小規模の在韓米軍を撤収するときでも、必ず閣下と事前に相談します。私は、オーストラリア、フィリピン、ニュージーランドも南ベトナムを援助することを期待しています。われわれが南ベトナムで勝つためには、いろいろな国々からの7万から8万人規模の兵力派兵が必要です。いま、ブラウン大使は作業中と存じていますが、在韓米軍の地位に関する行政協定は、ドイツの例を適用したいと思います。閣下の今回の訪問中には交渉の決着は難しそうですが」
朴正熙「この交渉はあまりにも長引いています。多くの韓国人、特に野党は不満を抱いています。閣下が早く結論を下すようにと指示することを願っています。1967年は韓国の第1次経済開発5カ年計画の最終年度です。われわれは、引き続き第2次経済開発5カ年計画を推進する考えです。韓国は米国の継続的な援助を必要としています」
ジョンソン「われわれは、第二次世界大戦後、約1000億ドルの対外援助をし、16万人の将兵が死傷しました。いくつかの国々の行動は、米議会から援助に対する同意を引き出すのを非常に難しくします。例えばスカルノが米国広報院の図書館を焼き払ったとき、議会は、インドネシアに対する援助を全面的に中断しようとしました。韓国が南ベトナムを支援したのは、その点で非常に賢明な措置でした。韓国の南ベトナム派兵は、他国にも刺激になって、オーストラリアとニュージーランドのような国々が南ベトナム支援に参加するようになりました。韓国が南ベトナムに1個師団を増派するよう改めて希望します」
17日の第1次韓米首脳会談は30分で終わった。朴大統領は、翌日(18日)に、8つのスケジュールを抱えていた。
ホワイトハウス国家安保会議のジェームズC・トンプソンは、2次首脳会談の前に、前日の第1次首脳会談の内容を分析、ジョンソン大統領にメモとして報告した。
「わが側の通訳が伝えた話によれば、閣下は朴大統領に発言の機会を十分に与えましたが、朴大統領は非常に恥ずかしがり屋であるため、今日の会談で彼にもう一度、昨日の会談のとき話せなかった議題があるなら忌憚なく話をするように励ますことが良いのではないかと思います」
2次首脳会談はホワイトハウスで、午後5時、両国の長官と補佐官たちが同席して開かれた。
ジョンソン大統領は冒頭、この日の正午、ナショナルプレスクラブで行った朴大統領の演説が素晴らしかったと祝った。ジョンソン大統領は続いてこの春、中西部を襲ったハリケーンの犠牲者を支援するため韓国国民が送ってくれた義捐金に対して感謝の意を表した。
「韓国国民に伝えてください。義捐金は、韓国戦争に参戦した軍人たち、被害家族たちのために使いますと」
ジョンソン大統領は、前夜の晩餐会に対して今朝、多くの招請客から私たち夫婦に、朴大統領閣下と一緒に過ごしたことが光栄だったとの連絡があったと話した。
ジョンソン大統領は、朴大統領に「両国間で議論すべき話は昨日、全部話したようですが、閣下が提起されたい議題があれば、ためらわずにおっしゃってください。どんな主題でもかまわないです。私はラスク長官と一緒に昨夜、ドミニカ共和国の問題でほぼ徹夜しました」と言った。
(つづく)