大韓民国の建国史(241)ベトナム戦派兵と韓日修交「朴正煕―ジョンソン会談」

日付: 2021年06月30日 00時00分

 ジョンソン大統領へのメモ
「朴大統領は、米国が韓国を支援し、韓日国交正常化の後も韓国を日本の統制権の内に押し入れないという保証を要求している。そういう保証が得られれば、彼は韓日国交正常化協定を批准するために必要な国民の支持を得るのに有利になるだろう。朴大統領は非常に賢い人である。彼は自分の背が低いことについてコンプレックスを持っており、初めて会ったときには、若干硬い態度を示すことがある。しかし、打ち解けて気持ちが楽になれば、相手の率直な態度によく反応する。彼の趣味のひとつは乗馬だ。
南ベトナム政府は、韓国軍の追加派遣を要請しているが、私たちは、韓日国交正常化の問題に直面している朴大統領が、その難関を克服する前にベトナム戦への派兵問題を議論してはならないと考えている。韓国側は、今回の訪米中に追加派兵の対価として、追加援助を得ることができるのか探りを入れると予想されるので、この時点では、私たちが進んで具体的な議論を進めてはならないと考えている」
ホワイトハウスの書斎で開かれた第1次韓米首脳会談では、両国の大統領が、通訳だけを同行し向き合った。機密分類から解除されて公開された対話録には、当時の国際情勢や韓米両国がおかれていた状況が生々しく記録されている。対話録の要旨を紹介する。
ジョンソン「私たちは、韓国に対してできる限りの援助手段を動員するつもりです。在韓米軍をそのまま駐留させます。兵力削減は考えておりません。兵力を調整すべき事情が生じたら、真っ先に相談します。閣下のリーダーシップのおかげで、日本との国交正常化会談が順調に進んでいることは幸いです。韓日会談が成功し決着すれば、南ベトナムで両国が協力するのにも役立つでしょう」
朴正煕「韓日会談は6月の中旬までには終わります。交渉を妨害する無責任な勢力がおりますが、私たちは国民に積極的に広報しています。日本との合意に達すると思います」
ジョンソン「議会で外国に対する援助案を通すことが益々難しくなっています。幸いなことに、韓国が南ベトナムに2000人の兵力を送ったことが議会を説得するのに役立ちました。閣下は南ベトナムに韓国軍を追加で派遣することはできますか」
朴正煕「検討してみなければなりません。あまりにも多くの兵力を南ベトナムに派兵すれば、休戦線の防御力が弱くなり、北韓側の冒険を誘発するのではないか、と憂慮する国民が多いです。しかし、私たちは、南ベトナムに兵力を増派する考えを持っています」
ジョンソン「1個師団を派兵できますか。そうすれば、戦争の遂行に大いに役立ちます」
朴正煕「ベトナム戦に兵力を増派することができるというのは、私個人の見解です。政府の中で検討・研究する必要があります。ここでは決められない問題です」
ジョンソン「私たちは韓国に必須の物品の輸入、開発借款、技術援助、そして平和目的の食糧支援について資金を支援します。米国で、韓国に対する印象が今のように良かった時期はありません。ロースト博士も、韓国訪問から戻ってきて”経済分野に大きな発展がある”と報告しました」
朴正煕「駐韓米軍撤収に対してワシントンから話が出ないように願います。そういう話が出るたびに、国民が不安になるため、私たちが南ベトナムを支援するのが非常に困難になります」 (つづく)


閉じる