大韓民国の建国史(231)朴大統領に日本との修交を説得したエアハルト首相

日付: 2021年04月07日 00時00分

 「(西ドイツ)政府は基本的な工業投資を先行しました。社会間接資本を拡充しました。市場経済体制を迅速に復旧しました。中小企業の育成に努めました」
ルートヴィヒ・エアハルト首相は椅子から立ちながら朴正煕大統領の腕をつかみこう話した。
「閣下、分断国家としては経済の繁栄のみが共産主義に勝つ道です」
朴大統領は訪問3日目の12月9日の午前、ベートーベン音楽堂へ行き西ドイツにいた留学生、技術訓練生(鉱夫)、看護婦など在留韓国人約170人に会って短い演説をした。
この時、在ドイツ韓人会長だった尹伊桑が答辞をした。尹はすでに1年前に平壌を訪問していた。尹は3年後、東ベルリンスパイ団事件で逮捕される。
朴大統領一行は、連邦下院を訪問してから、エアハルト首相との会談のために首相官邸に到着した。単独会談は、西ドイツから借款を得ようとした朴大統領の発言だけで予定時間の40分が経った。秘書に会談時間を30分間延長するように指示したエアハルト首相は、朴大統領に日本と修交するよう助言した。朴大統領が反発する表情を見せるや、エアハルト首相は語り続けた。
「閣下、われわれドイツとフランスは、歴史上42回も戦争をしています。ところで、コンラート・アデナウアー首相がシャルル・ド・ゴールと会って握手をし、隣国同士が手を握りました。韓国も日本と手を握りましょう」
朴大統領が、日本は謝罪すらしたことがないと言うと、エアハルト首相は言った。
「私の前任者のアデナウアー首相は立派な方でした。ドイツとフランスは本当に仲が悪かったのですが、彼はドゴール仏大統領に会って握手し、手を握りました。閣下、指導者は、過去や現在ではなく、将来を見て行かねばなりません。二国間で協力関係を作ってこそ共産国家からの脅威に備えることができます。日本と手を握りましょう」
朴大統領が依然と日本の行動を容認できないと言うと、エアハルト首相は、慈愛に満ちた表情で朴大統領の手を握って話を続けた。
「閣下。すべてが過去のことです。日本と手を取って経済発展を成してください。私たちが、後ろで支援します。そして心を一つにして生きていきましょう。われわれがお手伝いします」
朴大統領は、エアハルト首相の言葉に感激した表情で首相の手を取り合って立った。首脳会談後、午餐が行われた。エアハルト首相は、担保の必要ない財政借款2億5000万マルク(約4770万ドル)を韓国政府に提供すると決定した。両国は1965年からの韓独経済協力3カ年計画に合意した。西ドイツは韓国産綿織物の輸入クォーターを100万マルクから200万マルクに増やした。
この日の夜、朴正煕大統領が主催する晩餐会が開かれた。ルウィブケ大統領夫妻とエアハルト首相夫妻など、政府要人や企業家など約150人が招待された。
12月10日の朝、ボンでの重要日程をすべて終えた朴大統領一行は、鉱夫たちが働くルール地方を訪問した。午前10時40分、ハムボルン鉱山に到着した。朴大統領と陸英修女史は、車中で、鉱夫と看護婦たちが自ら超過勤務をしてそのお金を本国へ送金していることを聞いていた。近くの鉱山で働いている韓国看護婦50人あまりが太極旗を持って大統領を歓迎した。ハムボルン鉱山の講堂で愛国歌が演奏され始めるや、大統領夫妻と600人の鉱夫、看護師が一緒に涙を流した。
(つづく)


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