東京測地系→世界測地系 韓国経済のリスク要因

短期的に好調も人口減や金融不安など
日付: 2021年04月07日 00時00分

 国際機関である国際通貨基金(IMF)は、3月26日に公開した韓国政府との年次協議の結果報告書で、韓国の2021年の実質国内総生産(GDP)成長率見通しを3・6%とし、今年1月時点から0・5ポイント上方修正した。
IMFはこの報告書で、「主要国の景気回復に伴う輸出・投資の増加傾向と補正予算案などを反映し、今年の成長率見通しを上方修正した」と説明している。この成長率見通し3・6%は、経済協力開発機構(OECD)の3・3%や、韓国銀行(中央銀行)の3・0%だけでなく、韓国政府の見通しである3・2%をも上回る水準である。
一方、韓国経済は20年に新型コロナウイルス感染拡大の中にあっても、GDP基準で、世界トップ10になる可能性があるとの期待感が韓国国内では出ている。OECDが発表したところによると、20年の経済見通し基準で韓国の名目GDPは1兆6240億ドルとなっており、11位のロシア(1兆4030億ドル)を抑え、世界10位達成が確実視されているとの見方が韓国では出ているのである。そうなれば、韓国の経済規模は12位だった19年に比べて2段階アップすることとなり、18年以来、2年ぶりに世界10位を返り咲くことにもなる。そして状況によっては、史上初めて9位になる可能性もあるとの声も出ている。
現在、韓国は経済見通し基準で名目GDPがカナダ(1兆6200億ドル)を僅差で抑えており、実績値によっては9位となる可能性もある状況との期待が持たれているのである。
このように、短期的に見た韓国経済の成長見通し、そして韓国経済の経済規模の面では、好材料が示されている。
一方で、政府・統計庁が3月24日に発表した「人口動向」によると、今年1月の出生数は前年同月対比6・3%減の2万5003人となっている。1月としては統計を取り始めた1981年以降で最低となった。出生数は15年12月以降、62カ月連続で前年同月比減少している。人口減による潜在成長力の低下も否めない。
同じく、韓国政府・統計庁は2月の失業者135万3000人のうち、1年以内に失業した人は99万9000人を占めたと発表している。昨年1月末に韓国で新型コロナウイルスが拡大し始めた後、仕事を失い、再就職できずにいる人が中心と見られる。こうした失業問題も文大統領の支持率低下に繋がっているものと見られる。
さて、人口動態や雇用状況に厳しいデータが示される中、韓国国内では、「韓国の金融」についても不安なニュースが流れている。韓国国内では、「新型コロナウイルスの大流行が1年以上続き、借金で持ちこたえる自営業者が増えるなか、返済ができない可能性が大きい高リスクの自営業者が70%以上増えた。家計・企業の借金が全般的に増え、民間債務の規模は初めて国内総生産(GDP)の2倍を超えた」との見方が出ているのである。
中央銀行である韓国銀行が3月25日発表した、「金融安定状況」によると、自営業者のうち高リスク世帯は昨年末現在で19万2000世帯となり、昨年3月(10万9000世帯)に比べて76%増え、高リスク世帯の債務は76兆6000億ウォンとなり、前年同期に比べ37兆9000億ウォン増加しているのである。
韓国銀行は、高リスク世帯をデット・サービス・レシオ(=所得に占める元利償還額の割合)が40%を超え、資産よりも負債が多い債務者と定義している。
高リスク世帯は、資産が少ないため、経済環境の変化などによって所得が減ったり元利償還負担が増えたりすれば、借金の返済が厳しくなることは明白であり、これが金融不安の引き金ともなりかねない。
そもそも、外貨資金不足による金融危機のリスクを抱えていることに加え、民間負債拡大による金融リスクの上昇は韓国に対する国際金融の目を厳しくさせよう。 
(愛知淑徳大学ビジネス学部ビジネス研究科教授 真田幸光)


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