韓国デリバリー業界の課題

利用率世界一も配達員不足や労働環境に懸念
日付: 2021年02月17日 00時00分

 コロナ下、配達需要が拡大している。昨年11月の本紙で韓国のフードデリバリー利用率は世界一であると紹介したが、最近では配達できない商品はないと思えるほど、需要に拍車がかかっている状況だ。在宅勤務などの増加に伴いデリバリーは日常となった。見通しが明るく思える配達業界だが、配達員不足や労働環境などの問題が表面化しつつある。

■増加する注文

非対面、社会的距離の確保が新しい常識となった今では、外食業界のオンライン依存度はますます高まっている。1月5日に統計庁が発表した「2020年11月オンラインショッピング同行調査」によると、外食分野のオンライン売り上げ実績は前年同月比で60・6%上昇した。増加する一方の注文数に対し、配達員不足が表面化している。
配達代行業者パロゴでは、首都圏地域に2・5段階の緊急事態措置が施行された昨年8月30日、1日の注文は約12万件増えた。対して同期間の配達員数の増加は1000人にとどまり、注文数に追いつかない状況だった。他の代行会社も状況は同じだという。配達員不足は配達手数料の引き上げにつながり、その負担は飲食店を経営するオーナーが負うことになる。
代行料値上げは、飲食店側にとって利益率の低下となるが、かといって配達が遅れて料理の質が落ち、評判が悪くなるのは避けたいところだ。週末などの繁忙期は休まざるを得ない店もあるという。代行業者は、空いている時間を利用する一般のアルバイトを募集して配達員不足を補おうとしている。しかし「届け先が見つからなかったり、客への対応に不慣れで苦情を受けるケースがたまにある。一般人に頼むのは不安だ」と否定的な意見も聞かれる。

■配達員の懸念

一方、配達員の労働環境はどうか。都合の良い曜日や時間帯を選べるので空いている時間を活用しての副業が可能であり、移動手段と配送地域の選択も自由だ。韓国の出前アプリ「配達の民族」は、昨年下半期の配達員の月平均所得は379万ウォン(約36万円)と発表した。この会社では配達1件につき4342ウォン(約410円)の手数料が支払われる。配達員が平均所得を稼ぐためには、1カ月で計873件、週に1日休むとして一日平均34件の配達をしなければならない。1時間に3件程度の配達が可能だと仮定すると、1日10時間以上働く計算になる。また、この所得が全て配達員の収入となるのではない。彼らは正規社員ではないため、配達用バイクにかかる保険料やガソリン代などの諸費用を直接負担しなければならない。立場の弱い個人配達員が増大する懸念は拭えない。

■アジアへ拡大

デリバリー市場の拡大は今後も見込まれており、コロナ禍で仕事を失った人、収入が減って副業を余儀なくされる人々の受け入れ先として配達員が考えられている。ドイツを本拠とするフードデリバリー大手「デリバリーヒーロー(DH)」と「配達の民族」を運営するウーワ・ブラザーズは、シンガポールを拠点にデリバリー事業を台湾やラオス、インドネシアほかアジア11カ国で展開し、韓国の若者の働く場を創出する計画だと発表した。
将来、配達員は全て自動化されたロボットになる時代が来る可能性も考えられる。実際、ウーワ・ブラザーズはLG電子、韓国ロボット産業振興院と提携し屋外走行用デリバリー・ロボットの実用化を目指している。韓日とも、配達員が使い捨てにならないよう、先を見据える視点を失ってはならない。


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