奉俊昊監督『寄生虫』韓国映画初・アカデミー4冠

日付: 2021年01月01日 00時00分

 昨年2月に行われた第92回アカデミー賞は、韓国映画界はもとより非英語圏の映画製作にかかわる人々にとって「大事件」となった。奉俊昊監督の『寄生虫』(英題『パラサイト』)が、作品賞など4冠に輝いたのである。言語の壁を越えた史上初の快挙だ。
『寄生虫』はアカデミー賞のほかにも仏カンヌ国際映画祭「金熊賞(パルムドール)」をはじめ、数々の賞を獲得したが、その華々しさのわりに韓国の映画ファンの評点は辛い。2019年の最大ヒットも別の作品だった。奉俊昊監督の最高傑作として『殺人の追憶』(03年)や『母なる証明』(09年)を挙げる人は多い。確かに、これらの作品で奉俊昊監督のファンになったなら、『寄生虫』は王道ではないかもしれない。剛速球で三振を大量に奪う投手が、打たせてアウトを取るピッチングに変わったようなものだ。しかし、この力の抜け具合こそが万人に受け入れられた要因ではないだろうか。アメコミの登場人物が主人公の『ジョーカー』はある意味正当な社会派映画で、『寄生虫』は劇画的なブラックコメディだった。
階層の三重構造や「におい」の可視化、雨の有効な使い方など、「さすが奉俊昊」と唸らせられる作品であることは間違いない。何より、今まで韓国映画を見てこなかった世界中の人々に、韓国映画の存在感を示したことが最も大きな功績と言えるだろう。


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