東京測地系→世界測地系 韓国の企業規制法案

現実を見ない現政権の経済施策
日付: 2020年12月02日 00時00分

 世界的に、社会は混沌としてきており、その混沌は更に深まる様相を見せてきていると筆者は感じている。新型コロナウイルスの感染拡大は、それそのものが人々にとって恐怖となると共に、私たちに「疑心暗鬼という心のウイルスによる混沌」と「混沌が深まる中、サイバーセキュリティに関する世界的な脆弱性を背景とした混沌」が加わり、「何が真実なのか、何が混沌の源にあるのか?」が分からず、一般庶民の不安は増すばかりとなっている。
韓国の国内では今年4月の総選挙後、与党・共に民主党が予想以上に大勝し、それを背景とした左派的な動きが強まった。今の韓国社会の底辺には企業、特に大企業の既得権益層に対する不満が大きく、それに応えるため、共に民主党議員が提案した企業規制法案は何と約300本に迫る状態にある。
この中には致命的なポイズン条項を含む法案があり、否、そうした法案があまりにも多く、「大韓民国の主敵が北朝鮮から企業に替わったかのように錯覚するほどである」との声が出てきている。
もちろん、既得権益層の権益を調整し、富の公平分配に向けて動くことが必要ないかと言えば、そうではないと思う。しかし今、共に民主党から相次ぎ提出されている法案の中身を見ると、「結局は企業という少数を叩き、支持層を結集させ、腹をすかせた多数の歓心を買おうとするものに過ぎない」といった厳しい見方も韓国国内では出ている。共に民主党の政策姿勢は、「企業と労働者、大株主と少数株主、大企業と中小下請け業者、大企業と消費者を対立させ、少数勢力をコーナーに追い込む内容を盛り込み、少数側はどんな過ちを犯したのかも分からないまま叩かれるようにしていく」ものではないかとの声も出ているのである。
朝鮮民族国家樹立に向けた動きを急いでいるようにも見られる文政権と与党・共に民主党は、「理想を追い求める一方、現実との折り合いをつける姿勢が見られず、不安定である」と筆者には見える。
一方、毛沢東支持勢力が主流であった苦節の期間を経て、鄧小平氏が中国本土の事実上のリーダーとして少しずつ浮上してくると、中国本土にも変化の兆しが見られ始めた。そして、1978年以降に始まった中国本土の改革開放政策を鄧小平氏が打ち出すと、中国本土は発展のスタート点に立ち、今日まで大きく発展してきた。
ところが、その発展の潮目も新型コロナウイルス感染拡大による混沌と米中対立という二つの重圧の下で大きな曲がり角を迎えようとしているのではないだろうか。こうした中、中国本土国内のレポートを詳細に眺めていくと、その経済実態にも不安が見え隠れしている。
例えば、中国本土南部・広東省東莞市には現在、大小14万もの製造業の会社が集まり、前述した「改革開放路線」の先頭に立ち、近郊にある香港、マカオ、そして海南島などを貿易窓口として「世界の工場」として発展した中国本土を支えてきた街の一つがこの東莞市である。筆者も、94~97年の香港駐在時にはしばしばこの東莞市を訪問、刻々と発展するその姿に脅威すら感じたほどであった。ところが今、その東莞市にある工場には止まったままの大型機械が並び、注文を受けながら出荷できずにいる海外向けの製品が並び、わずかに生産されている製品の販売先は国内向け、それも今後、回復するかどうか不明との報告がなされているのを目にしている。
英米による対中包囲網によって、輸出に不安が残る中、回復していると言われている内需にも限界があるということになれば、中国本土経済は急速に悪化する可能性がある、特にこれに人口構成の変化による高齢者人口の増加で国内消費が低下していけば、中国本土の内需は急速に冷え込んでいく可能性も見え隠れする。
(愛知淑徳大学ビジネス学部ビジネス研究科教授 真田幸光)


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