「東京五輪開催中、北韓がミサイルを発射したら…」

朴智元国家情報院長が菅首相との会談で発言
日付: 2020年11月26日 00時00分

「平和の祭典」メッセージに対日圧力
一方で両国の交流再開も漸進


冷え切った韓日関係打開の風穴となるか。最近、韓国の政府高官や議員団が相次いで訪日した。これと前後し、新たな動きが水面下で模索され始めている模様だ。金浦―羽田間の航路再開間近といわれる中、文在寅政権からは日本政府を相手に北韓カードを切るという”圧力”とも取られかねないエピソードが飛び出した。
(ソウル=李民晧)

 [シーン1] 1988年ソウルオリンピックを10カ月後に控えた87年11月28日。イラクのバグダッド空港を出発した大韓航空ボーイング707機がインド洋上空で失踪した。KAL機爆破事件(通称:金賢姫事件)。
 [シーン2] 韓国と日本が共同開催した2002年サッカーワールドカップの決勝戦を翌日に控えた02年6月29日。西海の延坪島西側海上に現れた北韓警備艇が、韓国の艦艇・チャムスリ号に対し先制奇襲砲撃を仕掛けた。北方限界線(NLL)の南側3マイル海上で展開された第2延坪海戦だ。韓国軍6名が戦死、19名が負傷。攻撃を受けた艦艇は沈没した。

菅首相との会談直後、記者らに囲まれる朴智元国家情報院長(10日、東京・千代田区)
 20年11月10日午後3時40分、首相官邸。
「菅首相、北韓が来年の東京オリンピック開催中に日本列島を通過する弾道ミサイルを発射したらどうしますか」
朴智元国家情報院長が、菅義偉首相にこのような質問を投げかけたという。韓日の政治事情に明るい某消息筋によると、それまで落ち着いた様子で対話していた菅首相は、この話を聞くなり驚いて目を丸くしたという。
菅首相と朴智元院長の会談後、日本のメディア各社は「韓国が日韓共同宣言(韓日パートナーシップ宣言)を引き継ぐ新たな共同宣言について言及した」「徴用工問題が解決していない状態で(共同宣言を出すことは)現実的ではない」などと報じた。日本の外務省は、菅首相が「非常に厳しい状況にある日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけを韓国側において作ることを改めて求めた」と伝えた。
韓国では、菅首相が言及した「きっかけ」という発言について、韓国内の徴用関連の日本企業に対する「資産の現金化手続きの中断」と解釈されている。これについて、ある政府高官は19日、「(日本とは)徴用工問題の解決に向けてかなりのレベルまで近づいている」と語った。
一般的に、北韓問題と徴用工問題は完全に別案件として捉えられている。しかし今回の会談では、日本が神経を尖らせている徴用工問題に対し、韓国は「北韓の挑発」というカードを切って解決を試みたと分析されている。消息筋は、朴智元院長の発した対日メッセージを「日本が全力を傾けて準備してきた東京オリンピックのお祭りムードに水を差す”招かれざる客”が北韓の挑発であり、それを抑えることができるのは韓国しかない、ということを示したかった」と伝えた。
文政権は「平和」を掲げ、東京オリンピックにおける南北共同選手団の結成及び南北合同入場、南北米日などといった韓半島周辺国による首脳会談の開催などを提案してきた。これらは国内向けであると同時に、対日圧力としても有効なカードとなり得る。今回、朴院長を通してその意図を表明したとの分析だ。
一方、最近の韓日両国は政府レベルでの交流が次第に活発化している様子がうかがえる。10月には河村健夫・日韓議員連盟幹事長(兼・日韓親善協会会長)がソウルを訪問し、李洛淵・共に民主党代表と会談。さらに滝崎成樹・外務省アジア太平洋局長が10月末にソウルで韓日局長級会議を行った。外交当局の局長級会議は8カ月ぶりだった。
今月に入ってからは、韓国側から朴国情院長(8~11日)と韓日議員連盟団(12~14日)が相次いで東京を訪問し、菅首相と面談した。両国は、ビジネス目的のファスト・トラックに合意したのに続き、間もなく金浦―羽田間の航路を再開する方針で、対外的な発表を待つだけという状況だ。
現在、韓日間の航空路線は、ソウルと東京からそれぞれ1時間半離れた仁川と成田を利用しなければならない。韓日路線の搭乗率も30%未満だ。金浦―羽田路線は02年、韓日サッカーワールドカップを機に就航し、03年11月から正規路線となった。両国を1日で往復できる韓日シャトル交流の象徴路線だ。


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