北送の悲劇「True North」 韓国で上映

在日同胞・清水ハン栄治監督のアニメーション
日付: 2020年10月28日 00時00分

国民の力・池成浩議員と韓日映像懇談会も

在日同胞が監督を務めたアニメーション「True North」が、母国・韓国で上映された。  
テーマは重い。「北送」によって北韓の地に降りた在日同胞一家が、政治犯収容所で過ごす実態を描いた作品だ。制作者は、在日同胞4世の清水ハン栄治さんだ。
本作品は10月24日、京畿道富川で開催された国際アニメーションフェスティバルに出品された。本作の上映をリードしたのは野党「国民の力」の池成浩議員だ。
映像懇談会に応じた清水ハン栄治監督
映画は、9歳の少年・ヨハン(主人公)の父(在日同胞)がスパイ容疑で失踪し、残された家族3人(ヨハン、母、妹)が連座制によって政治犯収容所に連行されるシーンで始まる。殴打と拷問、強制労働が日常的に行われている収容所の実態がリアルに描かれていた。
ヨハンの父は、1959年12月から金日成が始めた「北送」事業の犠牲者だった。「北韓は地上の楽園」というプロパガンダを信じ、北送船に乗った日から彼らの悲劇は始まった。幼少期、祖母から北送の話を聞いて育った清水監督は、「True North」の制作に向け、数々の証言とデータを収集した。脚本は、北送された在日同胞の家族として耀徳収容所で過ごした経験のある姜哲煥(北韓戦略センター代表)、政治犯収容所で警備兵を務めた安明哲(NKウォッチ代表)など、脱北者40数名にインタビューを行ってつくられた。
この日の「True North」は作品の上映だけに留まらなかった。映画の上映後、日本に滞在中の清水監督と池成浩議員をはじめ、各メディア記者などの韓国側観客が、インターネットによる映像懇談会を開いたのだ。

 監督は「(アニメーションを制作した動機は)北韓当局が政治犯収容所の存在を消すことができなくなるよう、記録として残したかった。制作中、幾度も困難にぶつかり、投げ出したくなることもあった。そのたびに主人公のキャラクターが夢に現れて、『諦めるのか』と問いかけてきてくれた。それが映画を完成させるパワーとなった」と制作秘話を明らかにした。監督はさらに「北韓の人権問題は韓半島だけの問題ではない。北韓の人権改善に向けた韓日両国の協力も必要だ」と強調した。
野党「国民の力」内で北韓の人権及び脱北者・拉北者委員会委員長を務めている池議員は「映画を観て、つけていたマスクがびしょ濡れになるほど涙が止まらなかった。実話をベースにしていることに驚きを禁じ得なかった。この映画が必ず北韓住民に届くよう願っている。北韓当局もこの映画を観れば大きな衝撃を受けるはずだ」と感想を述べた。

懇談会後に記念撮影をした参加者たち


「国民の力」北韓人権委員会のチ・ヒョナ委員は「映画を観ている時、北韓の収容所にいたときの記憶が蘇って涙が出た。あまりにもリアルに思い出してしまった」と感想を語った。
一方、北送船に乗り北韓へと渡った在日同胞は、1959年から30数年間で9万3339人に達する。この中には日本人妻や日本国籍の子どもたち6679人も含まれている。

*清水ハン栄治監督の韓国版「True North」予告編はインターネット(https://vimeo.com/427301895)で。


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