統一部 射殺事件後に対北支援を承認

軍は情報をリアルタイムで把握し青瓦台に報告
日付: 2020年10月07日 00時00分

 北韓軍が海洋水産部の公務員・李氏を射殺した翌日、政府が民間団体による対北支援物資の搬出を承認したことで波紋を広げている。本件を管轄する統一部は「承認当時は担当課長が射殺の事実を把握していなかった」と釈明したが、不適切な対応への批判は免れない様相だ。
統一部は9月21日と23日、「栄養支援」と「医療物資支援」を名目に、北への搬出をそれぞれ承認した。搬出が承認された物資は、脱脂粉乳と医療用マスク、体温計、注射器などだ。これら 医療物資の搬出は、人道的支援という名目のもと23日午後に承認された。
問題は、承認した日付が北韓軍による李氏射殺の翌日だという点だ。李氏は9月21日に失踪し、22日夜に北韓軍により射殺された。軍はこの情報をリアルタイムで青瓦台に報告し、翌23日の深夜1時、青瓦台国家安保室長によって緊急安保関係長官会議が招集された。会議には李仁栄・統一部長官も出席した。
時系列的に、統一部が李氏射殺の事実を認識しながらも対北支援物資の搬出を承認した、という疑いが取り沙汰されている。統一部は記者らに対し「対北物資の搬出承認は規定に基づいて担当課長の判断で行われた。承認当時には担当課長が射殺の事実を全く把握していなかった」と釈明したが、腑に落ちないとの批判は避けられない。
統一部によると現在、北韓への支援物資搬出を申請していた6団体の手続きを中止し、各団体も政府の要請に応じる意向を示しているという。統一部は「現在の厳しい状況を見守りつつ(対北支援物資の搬出承認を)判断していきたい」と述べた。
一方、当日の李氏の状況については、韓国の軍当局が対北情報網によってリアルタイムに把握していたことも明らかになった。軍内外の情報を総括すると22日午後9時、北韓軍船舶の艇長(大尉クラス)が上層部に対し、李氏を「どう処遇すべきか」という趣旨の報告を行い、その後、北韓海軍司令部の指示によって李氏を射殺。さらに午後9時40分頃、北韓上層部に対し、李氏を射殺したとの報告が上がった。
これに対し青瓦台と国防部は、複数方面から上がった「現場の北韓軍が李氏の射殺前、上層部に報告した」という傍受について「事実ではない」と否定した。しかし、軍当局が射殺当時の傍受記録を確保していることは明らかだ。対北情報に詳しい政府関係者は「今回明らかになったデータは、韓米連合軍の情報資産、対北情報網から収集した特殊情報(SI)をベースに下された結論であり、確かなエビデンスがある」と語った。(ソウル=李民晧)

写真=北韓軍に射殺された公務員男性の遺体を探索する韓国軍の西海巡察船


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