民間人を射殺した金正恩を称賛

与党勢の妄言に李洛淵、李仁栄、柳時敏が加勢
日付: 2020年09月30日 00時00分

 韓国海洋水産部所属の公務員を射殺し、遺体を毀損した北韓軍とそのトップ・金正恩に対し、与党幹部らによる称賛発言が相次いでおり、波紋を広げている。金正恩を称賛する発言は25日、北韓が通知文で該当事件への謝罪の意を表明した直後、同時多発的に発出した。
初めに風穴を開けたのは李仁栄・統一部長官だった。この日、国会外交統一委員会の会議に出席した李長官は「北韓がこうして速やか、かつ遺憾の意を示す表現を2回も使って謝罪することは極めて異例。北韓から迅速に返答があったという点に注目している」と語った。
同じく会議に出席した李洛淵民主党代表(外交統一委員会所属)は「青瓦台が発表した北の通知文から、南北関係の変化を実感している。北の指導部が(韓国に)謝罪し、金正恩委員長も文在寅大統領と国民に謝ったという点だ」と評価した。
画像=公務員銃撃推定位置(資料=国防部)
 国民の怒りが頂点に達したのは、徐勲青瓦台国家安保室長による記者ブリーフィングの場であった。徐室長は同日午後、北韓の通知文を「北韓式の表現で、書かれたまま」朗読した。青瓦台が金正恩のスポークスマンとなり、金正恩の通知文を一言一句漏らさず代読したことで「これが国といえるのか」との批判が沸き起こった。
与党の要人らによる金正恩への称賛はさらに続く。廬武鉉財団理事長の柳時敏氏は25日、財団が主催する討論会に出席し、金正恩について「啓蒙君主のようだ」との妄言を放った。金正恩が近代化改革に乗り出した君主である、とのニュアンスだ。柳氏は2018年にも同様の主張をしたことがある。
討論会に参加した丁世鉉・民主平和統一諮問会議首席副議長も「一種の啓蒙君主としての形ができている」と賛同した。
「(金正恩が)直接遺憾の意を表したことは トンクン(勇壮な一面を見せた)側面がある」と述べ、金正恩を称賛した。
柳時敏・丁世鉉の両氏は、文在寅大統領に近い、いわゆる「信望者」だ。両名をはじめ、与党で強い影響力を持つ人物らによる金正恩称賛リレーは、いずれも金正恩の通知文が届いた当日の発言だ。このため、ネットの各掲示板では「驚愕」「正気の沙汰とは思えない」「亡くなったのが自分の家族でも同じことが言えるのか」などの批判が相次いだ。脱北者らの間では「もはや韓国で暮らすことが恐ろしい」という反応もあった。
金正恩は、人命を虫けら同然と考えている暴君であることは周知の事実だ。金正恩が権力ピラミッドの頂点に立って以来、金正恩の伯父・張成沢が銃殺され、異母兄弟・金正男はインドネシアで毒殺された。今年に入ってからは韓国国民の税金で建てた開城の南北連絡事務所を一方的に爆破し、今回は非武装の民間人、それも韓国の公務員を無残にも射殺し、遺体を毀損した。
行方不明となった海洋水産部所属公務員の李氏は今月21日午前11時30分頃、西海の最北端、小宴平島南方2キロの海上の政府所属船舶で失踪届が出された後、22日午後、北韓海上で漂流する姿が韓国軍当局に捉えられた。軍当局は同日午後9時40分頃、北韓軍が李氏に銃撃を加えた後、遺体に油を撒き、火をつけたものと把握していると説明した。
(ソウル=李民晧)


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