【BOOK】『中国は消防士のフリをした放火魔』(ペマ・ギャルポ・著)

チベット人の著者が自身の経験から訴える 中国が仕掛ける「超限戦」に立ち向かう覚悟を
日付: 2020年09月16日 00時00分

 1953年にチベットで生まれた著者は、59年の中国・人民解放軍の侵略によりインドへ脱出、6年後に日本へ移住し2005年に帰化した経歴の持ち主だ。かつて祖国が、そしてウイグルや南モンゴルがたどった道、今では香港が追い込まれている道に、日本が陥らないよう警鐘を鳴らす一冊が本書だ。追い込んでくる相手は誰か―もちろん中国共産党である。
イデオロギーとしての共産主義は放棄した中国共産党だが、一党独裁体制による国内弾圧を強め、世界の覇権国家になるべく突き進んでいる。その過程のなかで、著者は『超限戦』という中国の戦争論を紹介している。これは1999年に出版された中国人民解放軍関係者による21世紀の戦略研究の共著である(翻訳本:角川新書)。「超限戦」とは、実際の兵器による衝突だけでなく、インターネットを含むあらゆる世界を同時に戦場とする戦いを意味する。すべての境界と限度を超えた戦争であり、今日のウイルス拡大もその一つだ。そして米国は今、中国との「超限戦」を戦っている。
つまり、米中対立において「中立の立場」などあり得ない。そう主張する著者は日本に向けて、日中友好という幻想を捨て中国に立ち向かう覚悟を持ってほしいと、強く訴えている。
ハート出版刊
定価=1400円(税別)


閉じる