サムスンが脱中国の動き

米通信ベライゾンと大型契約
日付: 2020年09月16日 00時00分

 米中対立が激しさを増すなか、各国の企業はどちらの側に立つのか選択を迫られている。米国は中国企業への規制を厳格化しており、中国の特定の企業と取引がある場合、米国と取引ができなくなる可能性がある。ファーウェイ(華為技術)への半導体納品禁止措置が施行される15日を前に、サムスンはファーウェイとの取引を停止するもようだ。

 サムスン電子は7日、世界1位の通信事業者・米ベライゾンに対して第5世代(5G)モバイル通信機器を5年間供給することにしたと発表した。
供給総額は66億4000万ドル規模となり、韓国通信機器産業で過去最大規模の輸出契約となった。
今回の契約で、サムスンはAT&T、スプリントなど米主要モバイル通信事業者すべてと5Gモバイル通信供給契約を実現したことになる。
サムスン電子は現在、グローバル5Gネットワーク基地局の市場シェア4位(16・6%)だが、これにより1位のファーウェイ(32・6%)を視界にとらえたといえる。米中冷戦によって、米国、欧州主要国、インドなどでファーウェイ排除の動きが顕著になっているが、今回のサムスン電子と米ベライゾンの契約は、サムスンの5Gシェア争いをより有利にするものと予測される。
一方、懸念されるのはファーウェイなど中国企業とサムスン電子の関係だ。
米政府は国防権限法(NDAA)を施行、中国企業排除を一段と強化した。事実上、ファーウェイとの取引がある企業は規制を科す方向で動いている。
サムスンとファーウェイはライバルであると同時に、半導体などの部品供給の点では相互依存の関係にある。昨年、サムスン電子の売上高のうちファーウェイが占める割合は3・2%の約7兆3700億ウォンに上る。サムスン電子は、ファーウェイへの半導体供給を止めることで約6600億円の売上げを失うと見られている。
米商務省は先月17日、米国の技術とソフトウェアを活用して生産した半導体は原則的に、米国の事前承認を受けなければファーウェイに供給できないとする方案を発表。ファーウェイに対する半導体納品禁止措置を今月15日から開始。
8日、サムスン電子とメモリーメーカーのSKハイニックスが、9月15日から中国ファーウェイへの半導体の供給を停止すると韓国各メディアが報じた。
米国ベライゾンとの契約は、サムスン電子が事実上、中国ではなく米国を選択したことを意味する。激化する米中対立のなか、サムスンは米国に対しあえて、ファーウェイへの半導体納品許可の承認を求めなかったと見られる。
サムスンの脱中国化の動きは、これまでも進行していた。同社は7日、天津工場でのテレビの生産を11月末までに終了すると発表した。天津工場は同社が中国に設立した唯一のテレビ生産基地だ。サムスンは「生産施設の効率向上に向けた持続的努力の一環」としている。サムスンディスプレイはすでに、蘇州の液晶表示装置生産ラインの株式の大半を、中国の電気機器メーカー、チャイナスター(CSOT)に売却。サムスンが中国に持つ生産拠点は、蘇州市の半導体工場と家電工場、西安市の半導体工場のみとなった。
サムスンがファーウェイとの取引を停止したことで、韓国企業の脱中国化が今後どのように進行していくかが注目される。中小企業中央会の最近の調査結果によると、中国とベトナムに生産工場を持つ韓国の中小企業200社のうち韓国に回帰する意向がある企業は8%にすぎず、中国依存は今後も続きそうだ。
なお業界関係者は、サムスンもファーウェイの代わりに、中国系スマートフォンメーカーのOPPO、Vivo、北京小米科技など新たな供給先を探していくと見ており、米国の政策に抵触しない形で中国企業との連携を探っていく可能性もある。


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