大韓民国の建国史(206)近代化推進のため権力の強固化に出た朴正煕

日付: 2020年09月02日 00時00分

 「民間政治家たちに(政治を)任せるというのは、あらゆる醜態を演じ旧悪を犯し、民主主義の発展に害毒を流した人々が、またその顔ぶれが出ても良いということでは絶対ありません。つい最近、ある外国要人が、私に次の質問をしたことがあります。『議長は、彼らにすべてを信じ、すべてを任せ、すべてを譲歩したが、もし彼らが今回、国民に約束した宣誓を履行しないため、政治的危機が到来すれば、議長は傍観し知らぬふりをするのか』と尋ねました。私はこう答えました。『不幸にもそのような事態が起きた。しかしこの国は、何人かの反省しない政治家たちのための国ではなく、ましてや、彼らがふざけるための遊び場ではありません』。私はその外国人に反問しました。『あなたはそういうとき、見ていないふりをするのが愛国的な行動か、傍観しないのが、愛国的な行動か』と反問、それ以上答えませんでした」
ここまで聞いた記者たちは、原州市内の郵便局や電話局へ走り出した。
3月8日、すべての新聞は1面に「国民に害毒を流し秩序を混乱させた既成政治家は退くべし。放任するのが愛国か、傍観しないのが愛国か」というタイトルで朴議長の警告を載せた。誰が読んでも政治に混乱が生じたら、革命政府は傍観しないということだった。
民政不参加を宣言した朴正煕はこの演説を通じて政治力を示した。元々朴正煕は民政への不参を宣言し、軍服を脱ぐという約束はしなかった。彼は権力への執念を捨てず反撃の機会を待っていたのだ。彼はまだ46歳だった。やるべきこと、やり始めたことが多かった。
朴議長は3月9日(土曜日)の午後3時、サミュエル・バーガー駐韓米大使とフィリップ・ハビブ参事官を青瓦台に招致し2時間会談した。3月11日の午前、金在春中央情報部長は、軍部クーデター陰謀事件を発表した。金東河前最高会議外務国防委員長、朴林恒建設部長、朴蒼巖前革命検察部長など陸軍と空軍の現役と予備役将校と民間人など20人を拘束、1人を指名手配したとのことだった。
逮捕者のうち、陸軍戦闘部隊を指揮できる指揮官はおらず、20人のうち咸鏡道出身が7人だった。それで、咸鏡道の別名である「アラスカ」を取って、このクーデター陰謀事件捜査は軍内の咸鏡道人脈去勢作戦という意味の「アラスカ討伐作戦」と言われるようになった。捜査が革命主体勢力へと拡大し、恐怖の雰囲気が広がった。
朴正煕議長は3月13日、朴炳権国防長官、金在春中央情報部長、金鍾五陸軍参謀総長、主要最高委員たちを奨忠洞の議長公館に呼んで、「朴林恒-金東河クーデター陰謀事件」収拾を協議した。洪鍾哲大領(最高会議文教社会委員長)が非常戒厳令宣布問題を提起した。非常戒厳令の宣布のためには、国防長官が国務会議に案件を提出せねばならない。
朴炳権国防長官は「社会が安定に向かっているのに何のことだ」と強く反対した。洪鍾哲大領が率直に打ち明けた。「皆さん、実は非常戒厳令を宣布して軍政を延長するということです」。朴炳権はびっくりした。「いや、2月27日の宣誓式で朴議長が民政に参加しないと宣言したばかりなのに、軍政延長なんてとんでもないことです。民政不参宣言は、冗談でありません」。
柳陽洙最高委員など穏健な人々も朴炳権長官に同調した。会議は夜明けまで続いた。朴正煕議長は、会議が自分の意図通りに進まなかったため、会議を終え、「非常戒厳令や軍政延長の話は外に漏れないようにしましょう」と述べた。
(つづく)


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