突如持ち出された「行政首都移転」

李海瓉・共に民主党代表「ソウルは下品な都市」
日付: 2020年07月29日 00時00分

 ここにきて与党・共に民主党が「行政首都移転論」を唱え始めた。青瓦台と国会の世宗市移転を主張し、さらにソウル大学とKBS放送局までも移転させる方案を検討している。今から16年前の2004年、憲法裁判所が「行政首都移転」に対して下した違憲判決すら無視する姿勢だ。(ソウル=李民晧)

16年前に違憲判決も

 火種を投じたのは金太年・共に民主党院内代表だ。金代表は今月20日、国会交渉団体代表演説で「国会は丸ごと世宗市に移るべきであり、青瓦台と政府の各部処も全て移転すべきだ」と主張した。
その後、与党内では首都移転を支持する声が相次いだ。次期与党の党代表候補として出馬した李洛淵議員は21日、ラジオ放送に出演し「行政首都移転に対し、憲法裁判所は『慣習憲法に背反する』という前代未聞の論理で退けた。与野党の議論により解決方法を探る方法もゼロではない」と述べた。李議員は、与野党の合意や特別法の制定、憲法裁判所に再度是非を問う方法などを主張した。
李海瓉・共に民主党代表
 これにさらに踏み込んだのは金斗官議員だ。金議員は「(党内で)新行政首都移転特別法を準備している」と述べた。
こうした首都移転に対する与党の主張は、劣勢に追い込まれた局面を転換させるための小手先の方策にすぎない。ソウルを中心とする首都圏の不動産価格の高騰を受け、与党離れしつつある世論を引き留めようという底意を指摘する声もある。現政権は22回にも及ぶ対策を打ち出したが、不動産価格の制御に失敗した。2030世代(20代、30代)や、これまでの文政権の支持者らの離反が浮き彫りになったことで、劣勢局面を脱するために急きょ「首都移転カード」を切った形だ。
一方で憲法裁判所が16年前に違憲判決を下しているため、再推進は誤りだという指摘は妥当といえる。法律の是非を審議する最高司法機関・憲法裁判所の決定を不服とするのは、適正とは言えないからだ。
憲法裁判所全員裁判部は当時、裁判官8対1で違憲の決定を下した。
裁判所は決議文で「ソウルが首都であるという点は憲法上の明文化された条項があるわけではないが、朝鮮王朝以来約600年間に及ぶ慣習によって形成された慣行であり、慣習憲法として成立した不文憲法に該当する」と判断した。続いて「首都ソウル」という慣習憲法を廃止するためには改憲を要するとして「憲法改正手続きを踏まないのは憲法改正のための国民の国民投票権侵害にあたるため違憲」とした。こうした憲法裁判所の判断は、首都移転を行うためには憲法改正が不可欠だと明示したものだ。
一方、李海瓉・共に民主党代表は24日、世宗市で開かれた某イベントで、ソウルを指し「あんな下品な都市をつくってはだめだ」と発言し、波紋を広げている。李代表は今年4月の国会議員選挙でも、釜山を「みすぼらしい都市」と呼び蔑んでいた。
これに対し、河泰慶・未来統合党議員は「釜山がみすぼらしくてソウルは下品、という発言は、政治的利得のためであり、地域感情を刺激する。釜山とソウルをおとしめることは呉巨敦(前釜山市長、自ら辞任)、朴元淳(前ソウル市長、自殺)の2人の民主党団体長のセクハラ事件と同じものだ」と批判した。
与党は青瓦台と国会に加え、100以上の公共機関、ソウル大学、公営放送KBSまで世宗市への移転対象に含ませる案を検討中であると報じられている。


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