【BOOK】「ポン・ジュノ 韓国映画の怪物」―下川 正晴・著

「名監督」誕生の秘話と背景を探る
日付: 2020年07月15日 00時00分

 著者の言葉を借りれば、本書は「韓国映画100年史の中にポン・ジュノの作品を位置づけ、評価する」ものである。ところが、その切り口の幅が半端ではない。逆に言えば、このくらい多方面から考察を重ねずして、一人の映画監督を評することなどできるものではない、ということかもしれないが。
『パラサイト』(原題「寄生虫」)を見ていない、ポン・ジュノという人など知らない、韓国映画には興味がない、もっというと映画そのものに関心がないという人でも、何ら問題はない。本書では映画から、映画監督のルーツから、映画配給会社の企業理念からなど、とにかく「映画」というキーワードで繋がる自在な視点による近代・現代史が語られているのだ。
今後映画を見るときには、著者の解説が聞きたくなる―そんな気にさせる一冊だ。
毎日新聞出版刊
定価=1500円(税別)

下川正晴
(しもかわ まさはる)鹿児島県霧島市生まれ。大阪大学法学部卒。毎日新聞ソウル支局長、論説委員などを歴任。元大分県立芸術文化短期大学教授。著書に『私のコリア報道』(晩翠社)ほか多数。


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