大韓民国の建国史(202)最高会議の分裂を刺激した金鍾泌の独自勢力構築

日付: 2020年07月15日 00時00分

 金鍾泌は1月11日、朝鮮日報とのインタビューで、「わが党は、自由民主主義を志向するが、それは貧困の中では具現できない」と言った。また「後進国にはいろいろな不満が多い。貧困状態の中で国民を徐々に豊かにさせながら、不満を他の方向へと解消していくしかないではないか」「不満を解消する方法として、国民の敵を作れという人もいる」「われわれは、25マイル北に敵を置いているのに、国民の敵対意識は希薄になりつつある。国民の敵対意識を強化しながら、貧困を解消していく道しかないではないか」とも言った。
朴正煕議長は1月14日、政治浄化法の廃棄と早期選挙に反対を主張する野党人士たちに、「(そもそも)民主党が公民権制限法を作ったのに、今になって彼らが政治浄化法に反対するのは矛盾です。糺したいなら民主党に問うべきです。政治禁止に縛られている政治家たちを追加で解除したいですが、国民を納得させられる名分が必要です。この頃、私に毎日数十通の陳情書が届いていますが、なぜ旧政治家たちの活動を許すのかと抗議する内容です」
民主共和党発起委員会は1月18日、発起宣言文を発表し、「自由民主主義の新しい実践としての民族中興」を打ち出し、「新しい韓国は自主、自由、民主、共和の韓国である」と宣言した。発起委員会は金鍾泌を委員長に推戴した。
ところが、国家再建最高会議には金鍾泌に不満を持った革命主体が少なくなかった。彼らは金鍾泌委員長の排除を決意、自分たちの考えを朴正煕議長に伝えた。金鍾泌共和党発起委員長は、内紛の責任を負って党役職の辞職を表明(1月24日)した。朴正煕議長は直ちに最高委員たちを招集し、「最高会議は共和党に干渉するな、専担の最高委員たちを除き全最高委員は、共和党に参加すること」など6項目を指示した。
朴正煕議長は代理人を通じてサミュエル・バーガー駐韓米国大使に、最高会議内の内紛を解決するための方針を伝えたという。
・秘密解除されたディーン・ラスク国務長官宛のバーガー大使の電文
<金鍾泌は党を離党、相当期間外遊をする。反金鍾泌勢力の5人の最高委員を解任することにした決定を取り消す。最高会議と民主共和党は分離する。朴議長は下半期の大統領選挙に出馬する>
翌日、バーガー大使とメルロイ米8軍司令官は、朴正煕と金鍾泌に会った後、「朴正煕議長が昨日通知してきたことは、計画通りに進んでいない。金鍾泌と彼に反対する勢力が妥協せずに、戦い続ければ武装衝突の可能性もある」とワシントンに報告した。
共和党発起委員会の民間人代表たちと最高会議の代表たちは1月26日の午後、金鍾泌発起委員長の辞任問題について激論を交わした。民間人代表は、金鍾泌の辞退に反対し、最高会議側の代表たちは、金鍾泌の辞退を主張した。朴正煕議長は共和党の発起委員に金鍾泌の辞表を受理するように促したが彼らは応じなかった。金鍾泌は創党を指揮しながら、朴正煕もどうしようもない自らの政治勢力、主に民間人たちを既に構築していたのだ。
ディーン・ラスク国務長官は1月26日、サミュエル・バーガー駐韓大使に訓令を送った。
<朴正煕議長が金鍾泌勢力に勝利を許して、金鍾泌が挑戦を受けず権威主義政党を推進するようにしてもならず、反金鍾泌勢力によるクーデターも民政への移譲を混乱に陥れる。特にそのクーデターの主導勢力が咸鏡道人脈なら大衆的支持が得られないだろう>
(つづく)


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