南北関係破綻の責任を米国に押し付け

韓国WG 「解体」を示唆
日付: 2020年06月24日 00時00分

与党「米国は南北協力の邪魔物」

 与党・共に民主党陣営が、開城工業団地の南北共同連絡事務所を北韓が爆破した原因として、米国を名指しした。米国が金正恩政権の安全保障を担保せず、対北支援を妨げたことで危機に発展したとの認識だ。文在寅政権内からは、米国との協議体「韓米ワーキンググループ」の運営方法を変えるべきだとの声が高まっている。南北関係破綻の責任を米国に押し付け、同盟は危機的状況に追い込まれている。(ソウル=李民晧)

 金与正による「韓米ワーキング
グループ」批判


金与正(北韓労働党第1副部長)は今月17日、韓国が親米事大主義の罠に嵌ったとし、その具体例として「韓米ワーキンググループ」を挙げた。金与正は同日発表した談話で「北南合意文のインクが乾きもしないうちに『韓米実務グループ』なるものを立ち上げ、ことごとく北南関係の全ての問題をホワイトハウスに投げてへつらってきた。そのことが今日の無残な結果として返ってきた」と、韓国を猛列に批判した。
韓米ワーキンググループは、2018年11月20日に発足した。これは、韓米間の非核化問題、対北制裁、南北協力方案を協議する両国の実務者組織だ。同年6月、シンガポールで開かれたトランプ―金正恩間の米朝首脳会談で、北韓の非核化について具体策が見いだせなかったことから、両国相互の必要性によって結成された。
南北事業に注力したい文政権にとって韓米ワーキンググループは、北韓に対する国際的な制裁下で常に妨げとなる南北事業の壁を解消するための手段だった。実際、政権が推進してきた南北鉄道連結の着工、南北共同遺骨発掘など、当初は国連の対北制裁に反していたため、プロジェクトの推進は不可能だった。しかし韓米ワーキンググループ発足後、これらの案件は「対北制裁の対象外」として黙認された。
ワーキンググループは、同盟関係強化という側面からも有益だと評価されていた。対北政策について、明確に違う見解をもつ両国が、具体的事案について協議し、歩調を合わせることができる素晴らしい手段だったからだ。

与党「米国は南北協力の邪魔者」

18日、左派系市民団体らが青瓦台前で「韓米ワーキンググループ」解体を求めるデモを行った
 ワーキンググループが、韓米同盟の一つの軸として機能してきたのは事実だ。しかし、金与正による対南挑発から南北共同連絡事務所の爆破までを受け、韓国与党陣営が示した反応は「米国は南北協力の邪魔者」という見解だった。これまでも韓米ワーキンググループの解体を主張する声もあったが、いずれも反米または極左の市民団体によるデモで提起されていた。今回、ついに国政をリードする集団がこれに同調する姿勢を公に明かした。
米国責任論を掲げる与党陣営において、いまだ北韓挑発対応策、報復策に関する話は出ていない模様だ。韓国国民の税金で建てられた開城南北共同連絡事務所が北韓によって爆破されてもなお、これに対する賠償問題は鳴りを潜めている。
こうした与党陣営の対北隷従姿勢、北韓の要求を受け入れる様子は、むしろ韓国内の「南南葛藤」を助長させる上、韓米共助を自ら壊すことになりかねない。実際、与党陣営では南北関係破綻の原因として韓米ワーキンググループの存在を挙げる声が高まっている。
康京和外交部長官は18日、共に民主党の会議で「(与党内での)韓米ワーキンググループに対する懸念は十分に理解している」と語った。丁世鉉・民主平和統一諮問会議(民主平統)首席副議長は同日、対外経済政策研究院(KIEP)フォーラムの基調演説で「外交部が米国の提案を受け入れて発足した韓米ワーキンググループが、南側の対北歩み寄りを縛る足かせとなった。北韓の不満は、韓米協力という大義名分のもと、何もできない韓国政府を相手にする意味は何もない、というもの」と主張した。丁副議長は、統一部長官を辞任した金〓鐵氏に対し「韓米ワーキンググループの壁を超えられず、挫折感をおぼえたのだろう」と語った。
同日国会で開かれた外交安保統一諮問会議で、安圭伯・共に民主党議員は「我々が動きを見せると(韓米ワーキンググループが)横やりを入れてくるが、その流れを簡素化すべきではないか」と批判に加わった。

親与専門家も批判強める

ソウル市内で18日に開かれたKIEPフォーラム
 さらには、親与北韓研究者らも韓米ワーキンググループによって南北関係が壊れたと強調し、公の場で問題提起を始めた。18日、ソウル鍾路区のホテルで開かれた民主平統とKIEPの共同主催フォーラムに参加したパネリストらは、北韓の挑発は米国に起因するとの認識を露わにした。
「NGOが統一部に対北支援物資を申請したが、承認されなかった。タミフルを北韓に送る際、(韓米ワーキンググループが)トラックで送るのはダメだと言われたからだ」(丁世鉉副議長)。
「北韓は昨年2月、ハノイの米朝首脳会談から体制保障を求め続けてきた。北韓は韓国が要求を理解できなかった、あるいは自分たちを欺いたと思ったようだ。会談の決裂要因も韓国が(米国との)仲裁に失敗したためだとみている」(趙成烈・国家安保戦略研究院諮問研究委員)。
「18年の板門店会談後、和平の合意履行をアピールしたが、実際に実行されたものはほとんどない。南北間は対北ビラの散布禁止に合意したが、統一部はビラの散布をこれまでスルーしてきた。韓国が、南北の約束履行のため努力している姿を北韓に明示できなかったようだ」(梁文秀・北韓大学院大学校副総長)。
これまで韓米ワーキンググループを通して解決した問題は多い。南北鉄道・道路の連結調査、南北共同遺骨発掘事業、開城万月台共同発掘、離散家族のリモート面会など、全12件の南北協力事業がワーキンググループによって制裁免除となった。

ワーキンググループ中断から4カ月

文政権の対北協調、対米強硬モードが続けば、近日中に韓米ワーキンググループの看板が下ろされる可能性もある。ワーキンググループ会議は今年2月、米国務部のアレックス・ウォン対北特別副代表の訪韓時に対面会議が開かれて以来、現在まで4カ月間行われていない。昨年は、南北関係の管轄部署である統一部が、ワーキンググループに「運営上の問題がある」との認識を示し、会議の参加をボイコットした。
現政権内では、韓米ワーキンググループが両国間の「疎通の窓口」ではなく「葛藤の拡散」の窓だという説もある。米国では反対に、ワーキンググループが肯定的な役割を担っているとの評価もある。米国平和研究所(USIP)のパトリシア・キム米常任研究員は、自由アジア放送(RFA)とのインタビューで「韓米ワーキンググループの主な役割は、両国間の緊密な意思疎通と政策を調整することで、こうした反対意見を減らすというもの。韓半島における最近の危機的状況下で韓米ワーキンググループを解体するのは、賢明な選択ではない」と述べた。
与党・共に民主党は一方、第21代国会会期中、「対北ビラ散布禁止法」を最優先に処理するとの方針を固めた。ビラに続き、韓米ワーキンググループも解体段階へと進むのか。政府与党の流れをみる限り、韓米同盟に大きな危機が迫っていると言えそうだ。


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