【BOOK】「あやうく一生懸命生きるところだった」(ハ・ワン著/岡崎暢子・訳)

40歳を前に会社を辞め「頑張らない人生」を選択した著者の示唆に富んだエッセイ
日付: 2020年02月19日 00時00分

 イラストレーターである著者は、40歳を迎えるにあたり「今日から必死に生きないようにしよう」と決め、今までとは違う生き方である「頑張らない人生」を歩むことにした。勤めていた会社を辞め、自分の人生を振り返って検証していく。その一つ一つに、読む側も思い当たる節が満載だ。
著者のナビゲーションにより、いつの間にか自分自身の人生をなぞっている。すると、恥ずかしかったことやがっかりしたこと、傲慢不遜だった自分などが次々と蘇ってくるが、さらに読み進むと「ラクになる考え方のヒント」が示される。このヒントがなかなか秀逸なのである。読み返したときでも探しやすいように、ヒントは青い文字で書かれている。そして新たな発見もある。例えば「雑誌の目的は読者に挫折感を与えることだ」と、やや乱暴な結論が示されるが、その理由を読むとなるほどと腑に落ちる。
表紙のイラストを見て、著者が男性であることに気づいたときは驚いた。このような癒し系のエッセイは、女性作家の専売特許だと思いこんでいたからだ。思い込みが強いと人生を楽しめないよと、著者の声が聞こえてくるようだ。
ダイヤモンド社刊
定価=1450円(税別)


閉じる