韓国の伝統芸術 テーマ「韓日コラボレーション」

日付: 2020年02月05日 00時00分

◆俳舞 俳句と舞:金利惠

日本では、室町時代(韓半島では高麗の後半~李氏朝鮮前半)に「連歌」が大いに流行った。そのなかでも遊び心や庶民性を高めたものが、「俳諧」と呼ばれて人気を博す。その発句(五・七・五の17音)が、やがて「俳句」として確立していった。
「俳舞」の発案者である梨花女子大学名誉教授の李御寧さんは、「俳句の俳の字は本来、自由、遊戯、滑稽という意味を持っている。一方、韓国の伝統舞踊は型にこだわらない即興性と自在性を持っている」とし、「俳舞」という概念を生み出した。それは韓日の文化の単純な折衷、融合ではなく、それぞれが持つエッセンスを求め続けることを前提とする。表現者として、舞踊家・金利惠さん以外に思いつかなかった。

金利惠さん曰く「俳句が舞を招き、舞が応じる」瞬間(撮影=前川健彦)

 日本語を母国語とする金利惠さんは、20歳を過ぎて出合った母国の舞踊に、文字通り血が騒いだ。韓国に渡り、あえて日本語を遮断し舞を追究し始める。20数年後、あるきっかけでソウル俳句会に入会。どこかほっとする日本語の魅力を再発見し、詠みながら俳句に内在するリズムに惹かれていく。
先月、都内の能舞台で行われた「俳舞」を見て、なるほどと思った。俳句と舞が時折混ざり合ってはまた離れ、ということを繰り返している。それは、その場にいた誰もが新しい体験をした瞬間だった。
語るとき 語らぬときも 花の下
ひらひらと 夢に火照りぬ 酔芙蓉
鶏頭花 胸の高さに 佇ち炎ゆる
旅人に 風の峠の 飛花落花 (金利惠作)

◆パンソリと三味線「韓日音楽の雅と趣」

物語に節をつけて、太鼓の伴奏とともに身振りを交え唄い語る韓国の「パンソリ」と、旋律楽器でありながら打楽器的要素も併せもつ日本特有の「三味線」。両者の世界が重なったらどうなるのか―。興味津々の舞台が1月30日、「韓日音楽の雅と趣」と題して韓国文化院で催された。

深い母の愛情を表現する、チョ・ジュソンさん(右)の唄声と本條秀太郎さんの三味線の音色と唄が静かに呼応する


パンソリ「沈清歌」を演じたのは、重要無形文化財第5号「沈清歌」履修者チョ・ジュソンさん。自在な声や体全体を使った表現で、親思いの沈清の物語へ引き込まれる。続いて本條流の創流者であり紫綬褒章を受章した本條秀太郎さんが、木遣唄や神津島の民謡などを艶やかに披露した。瞽女唄では、瞽女が奏でた音色に近いものを表現しようと、三味線やバチに工夫を凝らした。
圧巻は、詩人・呉賢煕の「オモニ」のコラボレーションだ。母の愛情がシュールに展開する不思議な世界を、韓日伝統芸術の担い手が見事に演じた。


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