金正恩の心臓手術説などが出回る中、昨年末の党中央委全員会議を前後して、党と軍の首脳部が大挙更迭されたのに続き、平壌に住む党や政府の幹部たちが大混乱に陥っているという。
脱北者によれば、金正恩は最近、党と政府機関の幹部の3分の1を地方に移住させるよう指示したという。理由は、「国家供給対象」である幹部たちに、党が生活必需品を供給できず、地方に行ってそれぞれが生きるように、ということだ。
住民には社会主義の自力更生を強調、米国と国連の制裁措置に対抗する第2の苦難の行軍を強いている。
この不穏な雰囲気の中、先週末にまた異変が起きた。
2013年12月、張成沢処刑後、7年間も消息がなかった金日成の娘の金敬姫が1月25日、三池淵劇場での旧正月公演の観覧に登場した。平壌の媒体は金敬姫を金正恩夫婦、崔竜海の次に、李万建党政治局員兼組織指導部長よりも先に紹介した。だが、金正恩夫婦と金与正は叔母の金敬姫に対して、金氏王朝、つまり白頭山血筋の大人として相対していない。
金敬姫の登場は、第2の苦難の行軍のための思想武装の宣伝扇動の一環であると見られる。金正恩は昨年末にも、何十年も海外に追放されていた叔父の金平日などを平壌に呼び戻した。これは最側近まで粛清し続けた結果、信頼できる者が完全にいなくなって、金正恩が金日成一族を周辺に布陣させるしかない事情であることを物語る。
さらに、大いに期待してきた中国人観光客も、中国肺炎の拡散で入国を禁止せざるを得ない。金正恩は最悪の状況を迎えている。この状況でも、来週の建軍節(2月8日)の準備と対米挑発に貴重な資源を消費している。