【寄稿】「韓日経済協働の拡大が必要な理由」…高麗大学経営学部教授 李晩雨

政治指導者の大局的決断を求む
日付: 2019年12月04日 15時54分

 強制徴用への賠償を命じた判決による日本政府の対韓輸出規制が、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の満了と相まって、解決と破局の岐路に立たされた。韓国社会の日本製品不買運動や観光中止キャンペーンの影響は明らかになっているが、日本人はあまり感情を露わにしないため、韓国企業の被害を確認することは容易ではない。しかし、日本現地で韓国に対する不信感はさらに深刻化した。日本への就職を準備していた韓国の青年は、事態を見守りながら気をもむ。
韓国の輸出実績は急落し、企業の営業利益も日増しに落ち込んでいる。日本の製造業の生産増加率も2015年5月以来の最低値を記録するなど、韓国と日本経済の同時低迷が深刻だ。隣国間で摩擦が生じても、平素関係が疎遠な状況では被害は相対的に小さい。韓国と日本のように分業や協働体制でつながっており、出資や資金交流が活発な場合は、既存の協力体制の崩壊による被害に加え、将来の協働の機会喪失まで重なり、損失が倍増する。
在日同胞の事業家と、日本に長期滞在する韓国人の苦痛が最も深刻だ。日帝強占期から代を継いで、血と汗で事業を興した同胞の祖国愛は格別なものだ。厳しい環境の中でも韓国の名字を守り、苦労して集めた大切な資金を故国に投資する。1997年のアジア通貨危機当時、外国資本が資金を回収して大挙韓国を離れる際にも、在日同胞らは既存の投資を維持しながら、莫大な円を追加募金して韓国に送った。88年ソウル五輪と2002年韓日サッカーワールドカップ共催を後援するためにも巨額を募金した。
世界最大市場である中国と米国の人口は、それぞれ13億人と3億人、欧州連合(EU)の人口は5億人を超える。日本の1億2686万人と韓国の5171万人の人口は、内需市場と人材運用には不十分かつ脆弱である。韓日協働を通じて人材運用を補完し合えば、両国とも競争力を高めることができる。韓国と日本の経済対立は、中国に利益をもたらす可能性が高い。「中国製造2025」の10大課題である「半導体崛起」に向けて、韓国との半導体協力を推進する機会として活用するだろう。半導体で韓日間の分業体制が崩壊すれば、韓国は素材技術の研究・開発(R&D)に多くの時間と財源を投入しなければならないが、素材の国産化を達成しても、これを工程に定着させるにはかなり時間がかかる。日本と決別し、最大の需要国である中国との協力体制に切り替える場合、強力な力による「狡兎死して走狗煮らる(用があれば大事にされるが、済めばお払い箱になる)」というリスクも心配しなければならない。
日本の敗戦後74年が過ぎたが、戦争の責任に対する追及が不十分だったのは、第2次世界大戦後、中国の共産化と韓国戦争のような不測の事態により、米国の日本に対する依存度が高かったうえ、韓国も経済開発のための外資確保が喫緊であり、日本との請求権協定を急いだためである。日本の戦後世代の戦争責任に対する認識改善に向けた国際社会の努力が強化されなければならない。徴用の被害当事者が生きているとしたら、少なくとも90歳以上の高齢のはずだが、彼らに対する賠償より名誉回復が先決されなければならない。
最近、日本が半導体のコア素材である液体フッ化水素の韓国輸出を許可するなど、追い風が感知されている、先週東京で開催された韓国の全国経済人連合会(全経連)と日本の経団連間の韓日経済団体会議では、いかなる政治外交状況でも経済協力を更に拡大することを決意した。NAVERの子会社でありモバイルメッセンジャー1位のLINEと日本最大のポータルYahoo Japanの経営統合に対する期待も大きい。韓日経済協力の強化に向けた両国の政治指導者の大局的決断が切に求められる。


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