【インタビュー】「反日種族主義」日本語訳出版で来日…李栄薫・李承晩学堂校長ら

正しい歴史理解のため 蔓延する虚構に一石
日付: 2019年11月27日 00時00分

韓国で11万部超のベストセラー

韓国で今年7月に出版され、9月時点で11万部を超えるベストセラーとなった『反日種族主義』の日本語翻訳版が15日、刊行された。発売にあわせて来日した編著者の李栄薫校長(ソウル大学名誉教授)をはじめとする李承晩学堂の3人に話を聞いた。

――『反日種族主義』日本語訳出版にあたって考慮されたことなどはありますか。
私たちが現代史の学び舎として設立した「李承晩学堂」は、李承晩元大統領の一生を再評価し、彼の理念と業績を広く知らしめることを目的としています。日本では「李承晩=反日主義者」と記憶されていると思いますから、李承晩学堂で「反日批判」の本を出すということに違和感を覚える方もいらっしゃるでしょう。そこで今回日本語版を出すにあたり、その点について説明すべきだと考え序文を追加しました。
李承晩元大統領は、もともと日本に好意的でした。しかし1910年、韓国が日本に併合されて以来、日本の侵略に対し批判・警戒心を持つようになります。48年の建国当時、韓国では国民の大半が文盲でした。国民を、秩序を持って統合しなければならない状況下では、国家主義・民族主義のイデオロギーが必要だったと理解できます。
さらに米国が韓国に課した安易な対日政策は、「再度の対日従属を招来する」危険性をもたらすものでした。経済的に日本から独立した国民国家を追求するため、意図的に反日政策をとらざるを得なかった面がありました。しかし、反日政策の副作用が大きいのも事実です。李承晩学堂には、彼が残した負の遺産を克服する努力も含まれています。日本との関係において、このあたりの議論ができたらいいと考えています。
――今まで信じていたことが180度異なると知って、ショックを受けた人もいるのではないですか。
確かにこの本は、韓国社会に多くの刺激を与えたと思いますが、まったく新しい考え方というわけではありません。これまでも論じられてきたことが、系統的にまとまった一冊になったというところです。ただ、韓国では年代別に見て30代の人たちがもっとも多くこの本を購入しています。彼らにしてみれば、新しい概念といえるのかもしれません。
――韓国が日本を見る目は変わるでしょうか。
韓国において「反日フレーム」はそう簡単に外せるものではありません。この本が出たからといって大きく変わることはないでしょう。ただし、小さくても1歩は踏み出しました。まだ始まったばかりですから、今後さらに研究を進めていきたいと思います。

写真:(左から)朱溢鐘・李承晩学堂理事、李栄薫・李承晩学堂校長、李宇衍・落星臺経済研究所研究員


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