【BOOK】植民地下の暮らしの記憶 農家に生まれ育った崔命蘭さんの半生(永津悦子聞き書き)

日付: 2019年10月17日 04時31分

 本書は、日本植民地時代の1927年に慶尚南道で生を受けた崔命蘭さんの足跡である。当時の暮らしぶりを知る貴重な記録資料集であり、力強い女性史でもある。
「女は勉強させると生意気になる」という風潮ではあったが、崔さんは学校へ入学する。国語である日本語の読み方、書き方や日本の歴史を習う傍ら、週に1度だけ朝鮮語の授業があった。しかし3年生になると、朝鮮語を日常生活で使うことすら禁止となってしまう。子どもたち同士で使用をチェックする仕組みも作られていた。
崔さんの生家は農業を営んでおり、ほぼ自給自足の生活だった。住まいの間取り図や多くの写真とともに、暮らしぶりが細かく記されており興味深い。牛のえさの作り方などに政府が厳しく介入し、日本のやり方を推し進めようとしたことも垣間見える。
「女の人生は、生まれて、嫁いで、死ぬ―その三つだけ」という時代だったが、やはり女性はたくましい。結婚のくだりは、思わず笑ってしまった。
三一書房
定価=2000円(税別)


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