【BOOK】「元寇と玄界灘の朝凪」江刺家 丈太郎・著

日付: 2019年09月19日 00時00分

 時は13世紀、モンゴル帝国の支配の矛先はもちろん韓半島へも向かっていた。高麗史に「骸骨野を覆う」と記されるほどの悲惨な状況下で、高麗王朝はモンゴルの軍門に下る決意をする。しかし、それを断固拒否する反乱軍「三別抄」は、徹底抗戦の構えに入った。一方で、南宋攻略に手間取っていたモンゴルは、南宋を孤立させるべく日本侵略を決定し、高麗を利用する作戦に出る。あるとき、三別抄から日本へ「高麗牒状」が届いた。
この書状がどうやって鎌倉幕府へ届いたのか、誰が差し迫った状況を説明し、この不審な書状を朝廷へ送達せしめたのか―。著者は、「今日の日本人や日本文化があるのは、この高麗牒状によるところが大きい」との思いから、本書の発想を得たという。
ペルシャ人の貿易商の娘、肥前・松浦党の跡取り、三別抄の猛者、9歳で親に売られた五島列島生まれの少女など、登場人物は皆、力強い。大国モンゴルに振り回される悲劇を跳ね除けていく姿に救われる。
郁朋社刊
定価=1500円(税別)


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