大韓民国の建国史(152)朴正煕議長とケネディ大統領が共通の戦略課題を熟議

日付: 2019年05月15日 00時00分

 朴正熙がこのときベトナム戦への派兵を提案した事実は長く伏せられてきた。米国政府は、朴議長がベトナム戦への派兵を提案した部分を削除して外交文書を公開したからだ。削除された部分が公開文書で復元されたのは1996年、米国務省が『米国の外交』という文書集の「1961年~63年の北東アジア」編を発刊してのことだ。当時、米国の援助をもらう立場でケネディ大統領に出せるカードがなかった朴正煕議長が苦心の末、思いついたのがベトナム派兵だった。延べ約30万人、最多駐留兵力約5万人を記録した史上初の海外派兵の種がこのとき蒔かれたのだ。
ケネディ大統領は、予定になかった首脳会談をもう一回行うが、これは朴議長のベトナム派兵提案の詳細な討議のためだったと見られる。ベトナム戦への派兵を提案した朴正煕の論理は、「自由世界の一員として、米国の過重な負担を減らす」ということで、派兵には、米国の承認と支援が条件であった。つまり、派兵に伴ういろいろな経済的利得を計算しての発言だった。ケネディは、対話を対韓援助問題へ持って行った。彼は、米国が「バイ・アメリカ(Buy America)」政策を取るようになった背景を説明した。朴議長は、韓国が希望するのは「バイ・アメリカ」政策の全面的な撤回ではなく、特定の商品に対しては例外を認めてほしいという意味だと述べた。ラスク国務長官は晩餐のとき、この問題をもっと話したいと言った。
朴正煕「私は、革命の前と後を比較して革命政府がどれほど多くの仕事をしたのかをよく示す文書を持ってきました。この主題でラスク長官やハミルトン処長とも議論しました」
ケネディ「両国の大使たちは、すでに革命主体勢力の業績について非常に説得力のある話を説明しました。本当に感銘を受けました。米国が朴議長を最大限支援することを保証します。私たちは、韓国に対する援助の重要性を分かっています。もし韓国が共産化されれば、日本もそうなります。それでは、太平洋地域全体が自由を失う可能性が高くなります。韓国は、われわれに死活的な利害関係を持っているところです。マクナマラ長官、米国の軍事力について朴議長に説明しなさい」
マクナマラ長官「核兵器および通常兵器の予算が当初の計画より60億ドル増額されました。1700機の核兵器搭載の戦闘機のうち、850機は15分以内に離陸準備をし常に緊急待機中です。核兵器の分野でソ連が最近、大気圏での実験をしているが、米国は量的に3~8倍、質的にはそれ以上に優勢です。ソ連は200~300機の核兵器搭載爆撃機を北米大陸の上空へ出撃させることができるだけです。大陸間弾道弾の場合、われわれは核弾頭80基を搭載した5隻のポラリス級原子力潜水艦を保有しています」 
ケネディ「ソ連が、先制攻撃をしても、米国ははるかに恐るべき反撃ができます。われわれの頭痛の種はイラン、ベトナム、キューバなどで経験した性格の異なる紛争です」
ケネディ大統領は、朴議長に「38度線を越えての共産主義者の侵入が続いているか」と尋ねた。朴正煕議長は「北側はあらゆる手段を動員して38度線を越え侵入しようと努力したが失敗しました。一網打尽されています」と答えた。
ケネディ「北韓住民の士気と政治性向はどうですか」
(つづく)


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