第1四半期GDPマイナス

政権の危機意識薄く対策後手に
日付: 2019年05月15日 00時00分

 最近の韓国経済に対して警報が鳴っている。このほど第1四半期のGDP速報値が発表され、マイナス成長だったことが明らかになった。これに対し文在寅大統領は9日、就任2周年を迎えたKBSとの単独インタビューで、「目標値は少なくとも2・5~2・6%。下半期には2%台後半程度に回復すると思う」とし、楽観的な見方を示した。

 文在寅政権は今月10日で発足丸2年を迎えた。
韓国ギャロップが4月10日に行った世論調査によると、大統領支持率は45%と就任当初の83%に比べ大幅に低下。特に経済政策に関しては「肯定的評価」が23%、「否定的評価」が62%と、韓国社会からも厳しく見られている。製造、輸出などの各種経済統計を見ても、かつて韓国経済が危機的状況に陥った通貨危機当時と同じような水準にまで落ち込み、文政権が積極的に取り組んできた雇用面でも改善がみられない。
経済の減速が懸念されるなか、それを裏付ける決定的な統計が発表された。韓国銀行(中央銀行)は4月25日、1~3月期の実質国内総生産(GDP、速報値)を発表した。
それによると、同期のGDPの成長率は前期に比べ0・3%減少した。輸出と投資がそろって振るわなかったことが原因だが、マイナス成長はリーマン・ショック発生直後の2008年10~12月期以来となる。輸出は前期比2・6%減少。業種では製造業が10年ぶりの低水準となる2・4%のマイナスだった。
文政権は、今年のGDP成長率目標を2・6~2・7%に掲げている。昨年度は、目標としていた3%台成長は達成できず、12年(2・3%)以来6年ぶりの低水準となる2・7%にとどまった。米中貿易摩擦や、自動車など基幹産業の不振、さらには近年の成長を支えてきた半導体の輸出鈍化の影響を受けた格好だ。今年も大きなプラス要素が見込めないため、昨年と同程度の成長率を維持する方向となった。しかし今回の速報値は、2・6%成長を維持することさえ難しい現状を露呈した。1年間の4分の1の期間でマイナス成長を記録、残る期間でマイナスを補填するような大きな上昇材料が見込めないためだ。
賃金の上昇、労働時間の制限、法人税の引き上げ、規制強化、法制度の改悪など国内の事業環境は悪化している。近年、韓国経済を牽引してきた半導体輸出も価格が下落、調整期間となっている。半導体需要が再び持ち直すのは早くても年末と予測されている。
これまで文政権は、経済低迷に対し政策責任を認めず、所得主導型経済政策の見直しをしていない。「世界経済が下り坂のため、韓国経済の自主的再建には困難な点がある」(李海瓉・共に民主党代表)などの発言のように、景気低迷の原因を世界経済の停滞に求めている。
もともと韓国の経済発展は、輸出主導型の経済政策が成功したことが大きい。輸出額がGDP比50%を占めており、そのため国外の景気動向の影響を受けやすい。一方でグローバル市場では中国との競争が激化、輸出を支えてきた半導体や自動車などに昨年から黄信号が点り、経済が減速することは明らかだった。国際経済の流れで韓国が孤立しているこの時期に、政府がすべきことは思い切った政策基調の転換ではないか。
これに対して、洪楠基・経済副首相兼企画財政部長官は4月29日、経済活力対策会議を終えた後、記者団に「現時点では経済成長率の目標値を修正する計画は全くない」と述べている。具体的な対策どころか、危機感もない現状が浮き彫りとなった。「経済の悪化は始まりにすぎない。年末や来年はより深刻な状況になっているだろう」との懸念する声が広がっている。


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