米・朝ハノイ会談決裂2カ月で、金正恩が5月4日と9日、短距離弾道ミサイルを発射した。「米国との長期戦」と「自力更生」を豪語した金正恩は、自ら対話期限として設定した今年末を待たず挑発した。国連安保理の決議違反だ。
北側は、核保有国の地位を認められるよう粘り強く努力したが、国際社会の対北制裁、特に海上遮断が強化され、これ以上耐えられない限界に達したのだ。
金正恩は海上封鎖に変わる対北制裁を、中国とロシアの力で打開しようとしたが、中国とロシアが北を助けられないことが明らかになるや、文在寅政権を人質に、米国との対決を選んだ。北側は文政権に開城工団再開など南北協力事業の即時施行を要求している。
金正恩の対応の兆候は、すでにハノイ会談前に現れた。今年の1月、北京での北側の芸術団公演は社会主義固守の宣言だった。金正恩は、イランなど反米国家やテロ勢力と共同で対抗すれば、米国が交渉に出てくると計算したようだ。
だが、米国は焦る北側の作戦に乗らず、時間を稼ぎ戦略的絞殺を進めている。ポンペイオ長官は11日、実質的な非核化なしに譲歩することはないと明言、北側の要求を一蹴した。
ただ、今回の短距離弾道ミサイルは、韓国には致命な脅威だ。独特な偏心飛行のため、迎撃が極めて困難なのだ。韓国全域を射程に入れ根本的な対策が必要となった。先制攻撃だけが有効だ。