駐韓米国大使とUSOM(韓国に対する援助機構)の局長は、韓国に対する援助額に異見を提示せず、次のように建議した。
「バイ・アメリカ(Buy America)」政策(米国の援助資金では米国の物資を購入せねばならないという原則)を肥料購入に対しては例外とすること。
米国軍事援助資金で購入してきた物資を徐々に韓国軍の予算で購入するようにする政策を保留すること。
韓国軍が必要とする物資を軍事援助資金で海外購入の形で購入するようにすること。
当初の支援予算規模の1億2000万ドル水準を復元するか、上記の建議に対して措置を取ってほしい。軍事支援から経済支援へと徐々に移行する問題について韓国側と討議を始めるのが望ましいと考えられる。韓国軍に対する軍事援助額を若干削減、経済援助に転換する試験的措置を建議する。国連の旗の下、米軍2個師団が非武装地帯に配置されている韓国よりも敵の侵略への抑止力を完全に確保しているところは、世界のどこにもない。真の脅威は韓国の国内問題であり、これは経済開発を通して解決せねばならない。共同声明では、韓国の経済開発に対する最大限の支援意思を明白にすることが望ましい>
朴正煕議長は11月14日の午前9時15分、宿所の韓国大使館を出発し、アーリントン国立墓地に向かった。朴議長は無名勇士の墓に献花してから米国務省を訪ねた。ラスク長官は1階の玄関で朴議長一行を出迎えた。
この日、朴正煕議長は、ラスク国務長官に韓国に対する援助増額を根気強く要請した。朴議長は共産主義の侵略の可能性のため、韓国は60万の軍隊を維持しながら同時に経済を発展させる条件であることを強調し、経済開発5カ年計画が終了するまで、韓国軍に対する援助を1959年の水準に維持することを要請した。
ラスク国務長官は、米政府と議会が去る15年間の海外援助の実績を評価し、韓国を含む多くの国々で援助が効果的に使われなかったと判断し、議会が軍事援助、無償援助、短期援助を減らし、長期経済開発援助を増やそうとすると言った。そして、軍の兵力を建設工事、通信、医療部門に利用できないのか、韓日国交正常化で得られる利得に対しても質問した。
朴正煕議長は、米国が無償援助を長期借款へと政策を転換しても急速にはしないようにと要請し、軍兵力を経済開発に活用する問題は、すでにその方向に進行していると述べた。そして、米国に来る途中、東京で池田総理に会って国交正常化を可能な限り早く妥結することで合意したと語った。
ラスク長官は、日本との国交問題の解決は、米国の韓国に対する援助を代替するのではなく補助的な役割となると言った。また、韓国に対する援助問題はケネディ大統領との会談でも議論される予定で、ハミルトン国際開発所長とも議論するよう勧めた。
朴議長はラスク国務長官と1時間半の会談を終え、同じ建物の中にある国際開発所を訪ね、ハミルトン所長に経済開発5カ年計画を説明し、支援を要請した。
要談を終えた朴議長一行は、ホワイトハウスに向かった。朴議長と同じ歳のケネディ大統領は、玄関で待っていた。玄関の階段を上った2人はカメラマンたちにポーズを取った。朴議長は午餐会に出席する随行員たちをケネディ大統領に紹介した。朴議長一行がロビーに入るとき、米海兵隊の軍楽隊がアリランを演奏した。(つづく)