ヘイトスピーチ対応 新たな一歩か

法務省人権擁護局の内部通達
日付: 2019年04月10日 00時00分

 来年に迫った東京オリンピック開催を前に、日本政府は対外イメージ改善の一環としてヘイトスピーチへの対策に乗り出した。2016年に出された「ヘイトスピーチ解消法」から3年、法務省はこのほどヘイトスピーチ対策として、各地の法務局人権擁護部に内部通達を行った。その通達に対して民団など関係者の反応はまちまちだ。

 日本政府は、国連人権規約委員会からのヘイトスピーチへの対処勧告を受けて、2014年からヘイトスピーチ対策に力を注いでいる。16年には「ヘイトスピーチ解消法」を施行した。
さらに法務省人権擁護局は先月8日と12日、各地方の法務局人権擁護部に内部通達を行った。それぞれ「インターネット上の差別的言動」と「選挙運動、政治活動などで行われる不当な差別的言動」への対応を指示したものだった。 
8日付の通達では「不当な差別的言動」の解釈や「具体的被害が生じている」ときの判断の在り方、「人権侵害性が認められないと判断した差別的言動の処理」などを示していた。12日付の通達は、選挙運動等での差別的言動によって人権侵害が発生した際の対応を指示したものだ。
今回の人権擁護局の措置は、いわばヘイトスピーチへの対応ガイドラインを策定したものとみられる。
今回、法務省が出した通達は実際にどれだけ効果があるのだろうか。これはあくまでも人権擁護局の内部文書であり、法律ではない。一方でインターネットと選挙運動というヘイトスピーチの本丸に対して、一つの指針を示したものといえる。半面、罰則規定が設けられたわけではないことから、ヘイトスピーチの抑制にはつながらないという見方も多い。
警察関係者は「選挙運動、政治活動上での差別的言動については、表現の自由という観点からみて取り締まりが難しい」と指摘する。
人権擁護局は「現在の関連法上では名誉棄損などの他の容疑が伴わない限り、処罰は難しい。しかし、今回通達が出されたことで、現在も行っているインターネット関連のヘイトスピーチ抑制をより強化するための第一歩となりうる」と述べた。
民団の人権委員会関係者は「今回の通達は極めて意義深く画期的ものだ」と肯定的に評価した。
「法務省人権擁護局から通達が行われてまだ間もない。結果を判断するには早計だろう。法務省が法の精神に基づき、差別的言動を許せないものと宣言したことが重要だ」とする。「何事も外堀から埋めるものだ。法務省の姿勢を見ると、近い将来、より厳しい法律が定められるのではないか」と期待を述べた。
いずれにしろ、インターネット上のヘイトスピーチは野放し状態に近かった。選挙運動に名を借りたヘイトスピーチに対しても、取り締まりが難しかった。今後の動向が注目される。


閉じる