大韓民国の建国史(144)韓米関係の好転と朴正煕最高会議議長の訪米推進

日付: 2019年03月06日 00時00分

 一方、朴正煕議長が8月15日、民政への移譲スケジュールを発表した後、韓米関係は急速に近づき始めた。サミュエル・バーガー駐韓米国大使は同23日、ディーン・ラスク国務長官に「朴正煕議長を招請するのが望ましい」という要旨の電文を送った。
<(ケネディ大統領からの)訪米招請は、軍事政権を認めることで韓国内の状況の安定をもたらし、国家再建最高会議の中で朴議長の権威を強化させるはずである。朴議長が強硬派に対して穏健な方向に影響を行使してきたことを考えれば、この招請は望ましい。これはまた、北韓・中共・ソ連に対して韓米間の亀裂がないことを誇示できる。韓国の経済問題と長期経済開発計画について率直な意見交換ができる機会である。民政への移譲の約束は徹底して守らねばならず適度な機関によって憲法と選挙法などが作られるべきだというわれわれの見解を最高位のレベルで伝えられる。韓・日間の国交正常化問題に対する米国の意見を伝えるためにも朴正煕議長の招請が望ましい>
ラスク国務長官は9月1日、ケネディ大統領に、朴正煕議長を11月13~17日の間、米国に招請することを建議した。招請形式は非公式訪問。ケネディ大統領の承諾を得た米国務省は、バーガー駐韓大使に「ワシントンまでの交通費は韓国の負担、随行員は10人以内にすること」を指示した。宋堯讚内閣首班は、駐韓米国大使に「首脳会談の開催発表文で”非公式”という言葉を抜いてほしい」と要請した。バーガー大使はラスク長官に報告して「非公式」という単語を削除した。
軍・検・警合同捜査本部の金在春陸軍防諜部隊長は、先発隊4人を連れてワシントンを訪問した。丁一権駐米大使と一緒に出迎えた李壽榮駐国連大使は、金在春に「米国側は韓国の高級将星たちの拘束事態に対して不快に思っています。議長閣下の訪米前に解決して欲しいです」と言った。丁大使は、米国側の儀典に関して説明した。
「米国側の対応がひどいです。議長閣下がワシントンに着くとき、空港で迎える人は、マッカナギ国務省次官補ですよ」
多血漢の金在春は興奮した。  「一国の実権者を迎えるのにそんなことがあり得ますか。そんな侮辱をされてまで行きますか」
「米国側の話では、自分たちも困るそうです。韓国に民選大統領が現にいるのに、朴議長を国家元首として待遇するわけにもいかず、かといって総理の待遇もできないので、前駐韓大使が迎えるようにしたということです」
「それでは話になりません。権力者を一介の著名人士程度で待遇するなんて。本国でも大変怒るはずです。議長の訪米計画は取り消すべきです」
金在春は国際電話で金鍾泌中央情報部長と相談した。金鍾泌部長は最高会議にこの問題を提起し、米国に対して主体的に行動すべきだという強迫観念のような考えを持っていた革命主体勢力は「議長の訪米保留」とまで言い出した。最高会議はまた、サミュエル・バーガー駐韓米国大使にも公式抗議した。数日後、ワシントンに滞在中の金在春先発隊長に米国務省の韓国課長が訪ねてきた。
「朴議長の訪米保留の話がなぜ出ているのですか」
金在春はこう言ったという。  「大統領に次ぐ実権者を迎えるのに儀典に問題が多いと考えて、こちらの雰囲気を本国に報告しただけです。なぜそういう話が出るのかは分かりません」 (つづく)


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