米国に挑んだ大統領(5)ベトナム参戦は経済発展の礎作りに

日付: 2018年11月28日 00時00分

国家戦略フォーラム研究員 李春根

 米国のような強大な国家を筆頭に、名前もあまり知られていない国々に至るまで、国民国家という組織は、戦争が最も効率的にできるという点で、歴史上のいかなる組織とも、そして現存する国家以外のいかなる組織とも異なる。
現代国家は戦争に最も適した組織であるという点で、今日、地球上で最後の勝者として残った組織だ。現代国家なら、どの国でもその国が戦争遂行の能力を備えている事実を証明することこそ、その国が国際体制の堂々たる一員としての資格を認められる近道になる。
大韓民国は1948年に建国した国であり、現在の国際体制の主要な構成国と比べると若い国だ。建国2年も経たない時点で勃発した6・25韓国戦争は、新生大韓民国を完全に焦土化した。
60年代初めまで、韓国はさまざまな面でアフリカのガーナと比較される貧しい国だった。フィリピン、タイ、インドネシアなどは、当時の大韓民国が限りなく羨む先進国だった。
そういう大韓民国が国際社会の堂々たるメンバーとして認められた契機が、まさに60年代後半から70年代初頭まで、世界政治の最大の争点だったベトナム戦争に参戦したことだ。ベトナムに参戦した韓国軍は、世界の人々に韓国を知らせるきっかけとなった。
建国から20年も経たない韓国は、国際社会から現代国家の最大の特徴であり、かつ能力である「戦争遂行能力」を誇示した。ベトナム戦争での韓国軍の輝かしい戦功は、世界の人々に「韓国」という国に対する好奇心と畏敬の念を抱かせた。

ベトナム戦争に対する理解と誤解

戦争は当然、いいことでも誇らしいことでもない。にもかかわらず韓国がベトナム戦争に参戦したのは、当時の国際政治状況と韓国の国家安保のための最善の決定であり、韓国軍は国の命令に忠誠を尽くす心構えで危険な戦場に赴いた。
韓国は1950年6月25日、国際共産主義の支援を受けた北韓の侵略で国家消滅の危機に瀕したが、米国をはじめ国際社会の支援で何とか生き残った国だ。その韓国がベトナム戦争に軍隊を送ったことは、それ自体が6・25韓国戦争で韓国が受けた支援の恩返しの契機になった。ベトナム戦争も国際共産主義の侵略に対する自由世界の戦争として認識されていたからだ。
韓国の若者たちは遠い異国の地で戦っただけでなく、戦場でもらった給与(ドル)をきちんと韓国に送金することで、祖国が経済発展を遂げる礎作りの役割も果たした。ベトナム戦争に参戦した代価として、韓国が急速な経済発展を遂げるきっかけを作ったのだ。
ベトナム戦争への参戦は、巨視的に見ると、韓国が成熟した国として国際社会に登場したという証明書を発給される契機になった。
韓国社会にはベトナム戦争に関する歪曲、誇張および悪意を持って曲解されたさまざまな説が蔓延している。
韓国軍は、米帝国主義の傭兵にすぎず、韓国軍は良民を虐殺した野蛮な軍隊という主張などがある。彼らは韓国軍がゲリラの蠢動で混乱に陥ったベトナムの多くの地域を平定し、平和にしたという事実には関心がない。彼らは韓国軍がベトナム戦争に派兵された論理を根本から否定するだけでなく、韓国軍がベトナム戦争で示した戦闘行動だけに焦点を合わせて残忍だったという事実を恣意的に膨らませている。
韓国軍のベトナム戦争参戦に関する否定的な見解は、ベトナム戦争の国際政治学的性格と、ベトナム戦争の戦争史(military history)を精密に分析した権威ある学者が提示した説明などではない。
韓国軍のベトナム派兵を歪曲する人々は、米国に反対して北韓を支持し、自由主義と資本主義より社会主義や共産主義の方が優れた制度だと考える人々だ。彼らが米国を憎む理由は、彼らがより好む思想の宿敵が米国であるためだ。
北韓が民族を統一するため戦争を起こしたのに、米国の参戦で民族統一ができなかったと主張する人々は、全員が米国のベトナム戦争参戦も同様の論理で説明する。ホーチミンという民族主義愛国者がベトナム統一のために行った努力を、米国が妨害したのがベトナム戦争の本質であるというわけだ。
(つづく)


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