大韓民国の建国史(133)革命課題に取り組む態勢と知識人たちの呼応

日付: 2018年11月28日 00時00分

 最高会議は、内閣首班に宋グヨチァン国防長官が任命され、最高委員の宋チャンホ、朴致玉、金悌民は辞任したと発表した。7月3日の午後、朴正煕副議長が最高会議議長に就任した。朴正熙は就任辞を「背水の陣を敷いたわれわれにはもう後退はあり得ません。われわれには前進があるだけです」と結んだ。
朴正煕は7月7日、全国の捜査機関長会議に出席し、主に政府で働いている軍人に向けて警告した。「自家淨化と自己取り締まりを徹底せよ。政府に参与している軍人たちの数を減らしていく。(中略)革命の初期にはどの国でも玉石を区分できず処理するのが恒例だ。われわれは玉石を区分せねばならない。われわれの革命の目的は、あくまでも国民に奉仕する精神から出たものだ。したがって、この革命の精神を生かして、一般国民に親切で謙遜しなければならない」
最高会議は7月9日になってようやく「張都暎をはじめ、44人の反革命勢力を7月3日に逮捕した」と発表した。張都暎だけを自宅軟禁し、残りは厳重調査中だが、容疑は「反革命勢力の構成」と「朴正煕暗殺企図」だと発表した。発表文は、5・16義挙を前後しての張都暎の機会主義的行動を公開した。
サムエル・バーガー駐韓米国大使は7月16日、朴正煕議長を訪問した。バーガー大使は朴議長に、軍政を終わらせ民政へと復帰する問題を議論する機構を構成して、研究してはどうだろうかと提案した。そして「米国当局が公開的に革命政権を支持したくても、逮捕や粛清が繰り返されているため難しい」と述べた。最高会議が肯定的措置を取ってくれれば、自分も韓国政府を支持する声明を発表すると約束した。
革命政府は翌日、拘束した容疑者3098人のうち、すでに二度に渡って放免した1267人に追加し、1293人を放免すると発表した。発表文を通じて朴正熙は国民に、放免される人々に対する善導と同時に、彼らが再び反国家的な行動をしないよう厳重に警戒して欲しいと要請した。
朴正煕議長は7月19日の午前、内外信との記者会見で、今後の民政の在り方と時期については8月15日までに明らかにすると表明した。
軍人たちが軍へ復帰し、民間の専門家が代わりに重用された。高麗大学校総長だった兪鎮午は、革命勢力の推戴を受けて「再建国民運動本部」の本部長に就任した。知識人たちが5・16に期待感を表明し積極的に参加したのは、軍事革命委員会が発表した「革命公約」が大きな影響を及ぼしたからだ。革命公約の6項目は、4・19の後、有力媒体を通じて知識人らが主張してきたものとほぼ一致した。特に「あらゆる腐敗と旧悪を一掃し、廃退した国民道義と民族精気を正す」「私たちの課題が達成されれば、斬新で良心的な政治家たちにいつでも政権を移譲し、本来の任務に復帰する準備を備える」という公約は大きな説得力を発揮した。
朝鮮王朝以来、韓民族の勢いが鈍化して他国の植民地となり、解放後も国土の分断を招いた原因に対する冷静な診断があった。革命勢力が「民族改造」や「人間改造」を打ち出したことに対して、多くの知識人が期待感を隠さなかった。しかし、革命課題の完遂後兵営に戻るという約束は偽善だった。革命課題自体が、少なくとも一世代を要するものであったからだ。また、斬新な政治家などは存在していなかった。  (つづく)


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