俳優ソン・ジルさんに聞く~幅広い役柄を縦横無尽に演じる~

日付: 2018年11月07日 12時39分

 韓国ドラマ・映画ファンなら必ず知っている俳優と言わしめるほどに、縦横無尽の活躍ぶりだ。哀しいまでに家族を思う父親、興行団の団長、癖のある刑事など、助演から主演まで幅広く演じる。様々なジャンルの作品を通じて完璧な役作りをめざす名優ソン・ジル氏に、日頃の演技への思いなどを聞いた。

 ―ソウル芸術大学演劇科を卒業されていますが、高校の時からこの道に進むと決めていたのですか。

そうです。実は我が家には非常に厳格な父がいました。父は幼い頃に両親を亡くし、独学で大田高校、ソウル大学へと進学したいわゆるエリートなんです。勉強はできたと思いますが、親の愛情を知らずに育っているので、愛情を受けたり愛情を注いだりという経験がないまま大人になってしまった人でした。自分の子どもにも、自分と同じようにすることが親の役割と考えていたのです。高圧的な父親の元から抜け出す突破口が必要でした。それが私の場合、舞台だったというわけです。
高校の時に応援団長を務めたり、イベントのMCをやったり、ゲーム大会などを主催したりしていましたので、自然と演劇に繋がっていった気がします。
 ―趣味がお風呂と伺いましたが。
何もすることがないと、サウナや銭湯に行きます。日本には多くの良い温泉があるので、来日するたびにあちこち行っています。
趣味といえば、韓国にはチャングという太鼓がありますが、それを演奏するのも好きですね。基本的に楽器演奏は好きです。ピアノ、ギター、トランペットなどをやります。どれも独学ですが。
 ―韓国と日本双方で、リメイク作品が多くなってきました。
とてもいいことだと思います。同じ場面で同じ感情を表すとして、なるほど表現方法がこのように異なるのか、と気づきますよね。双方のお国柄がわかるといいますか、理解が進むきっかけになるのではないでしょうか。
―これからやってみたい役はありますか。
ラブストーリーの主人公をやりたいですね(笑)。若い人たちの燃え上がるような恋愛を描いた作品ではなく、50代になって顔に皺も寄ってきて、だからこそ愛おしいと思えるような、男女の静かな恋愛感情を表現してみたいですね。
―最後に在日の方々にメッセージをお願いします。
私が言うのもおこがましいことですが、それをお許しいただいて、私の日頃の思いをお伝えします。在日の方にお目にかかると、皆さん生きていくのが大変だと仰います。我々の同胞である在日の方々は、ある意味一つの家族ですから、元気でいてほしい、幸せになってほしいと、心より願っています。そして異国で苦労されてきた皆様を尊敬してやみません。
確かに過去には痛みを伴うこともありましたけれども、これから1世紀くらい時間がたてば、痛みも薄れていくのかなと思います。言葉で表現するのが大変難しいところですが、争いは誰も望んでいないと思います。
<ソン・ジル>
1968年生まれ。87年に舞台『父子有親』でデビュー。第6回大韓民国映画大賞助演男優賞(2007年)、SBS演技大賞単幕演技賞(03年)など受賞。
主な出演作は、映画『過速スキャンダル』(08)、『カエル少年失踪殺人事件』(10)他多数、ドラマSBS『ロビイスト』(07)、MBC『犬と狼の時間』(07)、SBS『ペク・ドンス』(11)他多数。


閉じる