憲法より左翼的理念を優先

「良心的兵役拒否」を認めた判決
日付: 2018年11月07日 12時25分

 憲法第39条に国防の義務が明記されている韓国で、もっとも敏感な話題の一つが兵役に対する不正だ。有力政治家とその家族、大物芸能人、著名なスポーツ選手などによる兵役不正問題が、たびたび世間を賑わせる。最近、この兵役制度の根幹を揺るがす判決が出た。

 韓国大法院の全員裁判部は1日、軍への入隊を拒否した罪で2004年に有罪を言い渡されていた「エホバの証人」の信者であるオ・スンハン氏に対し、無罪を言い渡した。
9対4の判決は「良心的兵役拒否者に兵役履行を強要し、その不履行で刑事処罰を科すのは、良心の自由を著しく制限するもので、基本的人権の脅威となる」と判決理由を述べた。これにより、裁判中の「良心的兵役拒否者」約930人にも無罪が宣告される見通しだ。
エホバの証人の信者は教理上、国家への服従と戦争に関わる行為を否定しているため、兵役を拒否している。国内では「兵役の代わりに、牢獄を選択した卑怯者」と言われてきた。
今回の判決に対し、左派団体は「韓国の人権が前進した」と歓迎。民主党は「立法部として司法の判断を尊重する」と表明した。一方で自由韓国党、正しい未来党などの野党は「北韓に降伏する前の武装解除への第一歩」「休戦中の現実を考慮していない判決」などと反発している。
市民からは「兵役に行く人間は良心がないのか」「現役兵が可哀想だ」「大法官たちが法の上に君臨している」など、厳しい批判の声が聞かれる。
徴兵制のある国では兵役拒否者に対し、社会奉仕などの代替服務を実施しているケースが多い。昨年6月、憲法裁判所は「代替服務制度がないのは違憲だ」とする判決を出している。今回の判決は、この裁判の結果を色濃く反映したものとなった。
これにより今後、具体的な代替服務の内容が決定する。現役兵との公平性を考慮し、2倍近い36カ月間、各地の刑務所などの更生施設で務める。
しかし、宗教を理由とした「例外」を作ったことで、今後さらなる例外が出るのではとの懸念もある。例外が多くなれば、韓国の兵役制度の根幹を揺るがす事態にもなりかねない。


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