米空軍の練習機受注に失敗

韓国軍事産業にマイナスの影響も
日付: 2018年10月11日 00時00分

 韓国航空宇宙産業(KAI)は9月28日、米空軍の高等練習機更新事業(APT)の受注に失敗した。今回の結果は、韓国軍事産業に大きなマイナスの影響を与えるのではないかと懸念されている。

 米空軍高等練習機更新事業は、米空軍の40年以上経ち老朽化した練習機「T38C」350機を160億ドルを投じて新しい高等練習機に交代するもの。KAIは超音速高等練習機「T50」を改良した「T50A」を提案、9月15日に最終書類を提出していた。KAIは、米国、ロッキード・マーチン社と提携して、この受注戦に参加していることからも、同事業受注の有力候補としてみられていたが、米空軍は、米国、ボーイング・スウェーデン、サーブのコンソーシアムを優先交渉の対象として選定し、92億ドルの契約を承認した。
今年3月に産業研究院(KIET)が発表した「2018武器輸出 10大有望国家報告書」のなかでは、米国をトップにあげ「米国は、現在も韓国最大の武器輸出対象国だが今後とも輸出見込みが明るい」とし、その理由として「高等訓練機入れ替え事業(APT)にT50訓練機の輸出が有望だから」と見通していた。それだけに、今回の結果には業界に失望が広がった。
また、今回の受注失敗は、KAIの経営に大きな影響を与えるのではないかとの懸念が生じている。同社は、シンガポールのエアショーで起きた「ブラックイーグルス」のT50離陸時の事故(2月6日)、海兵隊の上陸ヘリ「マリオン」墜落(7月17日)と連続して大きな事故を起こしていた。
負の連鎖が続きAPT事業の受注失敗となった。KAIは韓国唯一の航空機総合組立企業で、同社の経営が悪化すると、韓国航空産業全般にマイナス影響を及ぼす。さらに受注失敗の影響は、この先、航空機事業や海外輸出などにも及ぶと見られる。
韓国10大防衛関連企業の昨年の売上額は9兆5827億ウォンで前年比15・98%減少するなど、防衛産業全体が停滞期に差し掛かっている。昨年の防衛産業界の営業利益率は製造業の平均(8・4%)を大きく下回り、各軍事関連企業の業績も停滞、代表的な企業である現代ロテムは、韓国最大規模の地上防衛関連装備展示会「DXコリア」に、予算不足を理由に参加しなかった。
現在、韓国防衛産業の売上全体に占める内需の割合は85%。こんななかKAIによるAPT事業の受注は、海外輸出のための飛躍の一歩になると考えられていた。
軍事専門家らは「防衛関連企業の競争力欠如という根本的な技術不足が理由ということもあり得るが、政府の支援も不十分」と指摘した。
さらに「韓米FTA交渉のときに、軍事関連産業の話もすべき」など、文政権の外交能力の欠如を批判する声もある。
関係者は「現政権下では、トラブルが生じたときに、監査院や検察が積弊と称し、一方的な調査を行うのが常態化してきている。軍事産業でも同様のことが行われている。これでは、海外で韓国製の兵器を輸入しようという動きも停滞する」と話す。
輸出関連で利益を上げることができない場合、生産ラインを維持することも危ぶまれる。そうなると国防にも大きな影響を与えることになる。


閉じる