高麗青磁への情熱―152―

日付: 2018年09月27日 00時00分

四人共同経営(一)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画


咸北陶磁器工場を辞めて家に帰って数日後のこと、ちょっとタバコを買いに出たとき偶然、崔南星君と崔仁煥君の二人に出会った。
「柳さん、会寧に行ったと聞いていたのにいつ帰られました?」
「三、四日前になるけど。ところで、そちらは最近どうかね?」
「どうもこうも、安月給取りの身で何ができる? ぼくらにも咸北陶磁器工場のようなところを紹介してくださいよ」
「いやいや、もう日本人の召使いみたいなことはよして、これからは私たちも自立してみたらどうだろう。一度、一緒にやってみようじゃないか」
「資金も道具も何も持っていないのに、どうするっていうんだね?」
 「なけりゃないで何とかできるんじゃないか。力を合わせれば何とかなるよ」
「何もなしでやれる? そうか……地面の上に工場と窯の絵を描いて始めるのかね」
「そんなにくさらないで、可能な方法を探せば、道は拓(ひら)けるじゃないか」
「ぼくらはいくら考えても方法が出てこないんだ。柳さんが何とか探してくれないかね。そしたら、ぼくらは黙ってついて行きますから」
「やり方の方法といっても別に変わったものなんかないよ。使っていない工場を借りて始めようということさ」
「そんな工場がどこにある?」
「永登浦で黄仁春君がやっている所さ」
「永登浦って、それじゃ風岡の工場のことか?」
「そうだ」
「あいつが貸してくれるかな」
「何事も当たってみなけりゃわからないってことだよ」
三人で永登浦に向かった。途中、うどん玉数個と焼酎二本を手土産として買った。黄仁春君と彼の妻が出て来て挨拶をしたが、喜んで迎えながらもどこか視線がぎこちなかった。われわれはうどんを差し出した。
「これを茹でて昼食にでもしましょう」
黄君の妻の表情がさっとやわらいだ。
「あらまあ、うどんまで買ってこられたんですか?」
「苦しいときこそ助け合わなくちゃ。そうじゃないですか?」
「そう思っていただくとありがたいですわ。でも柳さんは会寧に行かれたと聞いておりましたが、いつお帰りになりまして?」
「もう数日経ちます」
「で、どういうご用件でうちにいらっしゃったんです?」
「ええ、それには訳がありましてね」
私の言葉を受けて、崔南星君が答えた。 


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