高麗青磁への情熱―147―

日付: 2018年07月31日 04時57分

咸北陶磁器工場と私(一)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画


私が博覧会で特選を受けてからというもの、出資主は工場にやって来ても、いつもふくれっ面をしていた。私は無言で彼の目ばかり窺っていた。
出資主は孟氏だった。彼は私に面と向かって言いはしなかったが、様々な陰口が耳に入ってきた。旧く、自分の資本で運営しているのにどうして柳氏名義になっているのか、博覧会への出品もどうして柳氏の名前で出したのか。そんな陰口が聞こえてきた。
人間の感情とは複雑である。何度もそんなことを聞かされると、いやがうえにも不愉快になってしまう。朝鮮人は一般的に事業を興すとその事業の発展や拡張を図るよりも、自分の地位や権利を主張する民族性があるが、そうかといって黙って見過ごすわけにはいかない。とにかく一度聞きただして話をつけなければならないと思った。そう思っていたが孟氏は暫くの間、姿を見せなかった。
以前から毎日工場に現れたわけでもなかったが、二、三日に一度は来ていたのに、五日経っても音沙汰がなかった。その次の日の午後になってやっと姿を見せた。彼を見るや、カアッと頭に血が上った。だが、そうかといって、会ったとたんに怒るわけにもいかなかった。
「久しぶりにいらっしゃいましたね?」
私が先ず口を開いた。
「私のやることが気に入らなければ、私と事の是非を話し合うべきじゃありませんか。どうして他人にあれやこれや言いふらすんです?」
「私が何を言ったと言うのかね?」
「私がそのことを話さなきゃなりませんか」
「何のことやら。さあ、話してごらんなさい」
「私の口から先に言わなきゃならないということですか。一人や二人の人間から聞いた話じゃない。あなたが金を出して仕事をやっているのに、看板は柳名義になっている。あなたの金で作ったものを柳名義で出品している。私があなたを案山子みたいにしてやっている、そう言ったでしょ?」
彼はちょっとためらったが、すぐに口を開いた。
「その通り。そう言ったよ。事実そうじゃないか。私の金でやっているのにあんたの看板が掛かり、またあんたの名前で出品もする。感情的にならないほうが不思議というものだ」
「私のやることに感情的になったなら、私たち二人の間で解決すれば済むことじゃないかね。どっちにしろ、今日からでもあなたの思いどおりにしなさい。これまでは共同経営というのは名ばかりで私が責任を取っていたから、私の思いどおりにしてきたが、今日からあなたの看板を出し、全部あなたの責任で工場を取り仕切ってください。そして、私には従業員としての月給だけください。私は彫刻だけするから、そうすれば文句はないでしょう」


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